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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

「心腎貧血症候群を考える ~貧血治療の重要性と新たなステージ~」No.1

院長の山嵜です。

 

本日は「循環器内科医のための腎性貧血治療 Up to date in 神奈川」という講演会で「心腎貧血症候群を考える ~貧血治療の重要性と新たなステージ~」というテーマで講演をさせて頂きました。

 

 

 

 

 

慢性腎臓病は日本に約1330万人いるといわれています。その多くは末期腎不全になる前に心血管疾患を患い命を落とすことが知られています。

 

腎機能障害が重度なほど心血管イベントの発症率は高く、また心不全患者では健常者に比べて腎機能低下の程度が高い。このような関係から心臓と腎臓の間にある関係を「心腎連関」と呼び、両者の間はナトリウム利尿ペプチド系や交感神経系、レニンアンジオテンシン・アルドステロン系などの神経体液性因子により関係づけられています。

 

心不全は腎機能低下を招き、腎機能低下は心不全を招く、その間にあるメカニズムの一つが貧血です。

貧血は慢性腎臓病や心不全の予後不良因子であることが報告されており、この3者の関係が悪循環となりもたらされる状態を「心腎貧血症候群」と呼んでいます。

 

心不全ではヘモグロビンが10g/dl未満となると予後が不良になることが報告されていることから、Hb10g/dl未満の心不全では貧血に介入することが推奨されます。

 

慢性腎臓病合併心不全ではまずは鉄欠乏が存在するかどうかを評価します。貧血を呈する重症心不全では57%に貧血が存在したとの報告もあり鉄動態の評価は非常に重要です。鉄動態の評価は主に二つです。以下のどちらかを呈していれば鉄欠乏と判断します。

 

・TSAT(トランスフェリン飽和度):血清鉄/TIBC×100:20%未満

・フェリチン:100ng/ml未満

 

鉄欠乏があればまずは鉄剤の投与を開始します。鉄欠乏が存在しなければESA治療を考慮します。

これらの治療によりHbが12g/dlを超えるようであれば血栓塞栓症のリスクからESAを減量・休薬します。

 

ESAは注射製剤ですので外来で使用するには侵襲的であること、また一定数ESA抵抗性患者が存在することなどの課題が存在します。そこで登場したのがHIF-PH阻害薬です。

 

~次回へ続く~

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