横浜市青葉区 循環器内科 小児科 皮膚科 禁煙外来 睡眠時無呼吸症候群 地域医療を支えるクリニックです

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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

2021年07月

Diabetes Online Conference

院長の山嵜です。

 

今日は名古屋大学から坂東先生をお招きして

「糖尿病合併症としての心不全~最新ガイドラインを日常臨床に生かす~」

というテーマで講演を頂きました。

 

 

 

 

疑わしい方も含めると2000万人いると言われている糖尿病と、高齢化にともないパンデミックとなっている心不全、どちらも臨床で欠かす事の出来ない疾患です。

 

糖尿病治療を適切に行うことは心血管疾患の発症抑制に繋がります。

 

最近では血糖降下薬であるSGLT2阻害薬が心機能の保たれたHFpEFに有効であるという報告が出されました。

 

糖尿病薬と心不全薬の二つの顔を持つSGLT2阻害薬は実臨床においてこれからさらに広く使用される薬剤となるでしょう。
さらなるエビデンスが確立されることが楽しみです。

慢性心不全治療セミナー

院長の山嵜です。

 

梅雨も本番となりじめじめした毎日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。

 

 

本日は慢性心不全治療セミナーで

「今、心拍数の声を聴く ~心不全診療における心拍コントロールの重要性~」

というテーマでお話をさせて頂きました。

 

 

 

 

最近は皆さんからapple watchやスマートウォッチなどで測定した心拍数などのデータを見せて頂く機会がとても増えました。最新のapple watchでは脈の不整を教えてくれたり、心電図を測定する機能もついています。

 

このように皆さんの目に広く留まるようになった心拍数には様々な情報が含まれています。

 

心拍数を増加させる因子として

・甲状腺機能亢進症

・脱水

・肺塞栓症

・呼吸器疾患

・薬剤

・脂質異常症

・高血圧

・高血糖/高インスリン血症

・肥満

・喫煙

・貧血 etc

などなど様々な要因が挙げられます。

 

 

健常者を対象にして行われた観察研究でも心拍数が高い人ほど死亡率が高いという報告があります。

 

心不全におきましても心拍数が高いほど心不全入院や心血管死の発生率が高いことが、東北で行われた観察研究であるCHART2や心拍数70以上の慢性心不全患者を対象としたSHIFT試験で示されています。

 

心拍数上昇に大きく関与するのは緊張やストレスで上昇する交感神経活動の亢進です。

 

心不全では低下した心機能を補うために過剰に交感神経活動が亢進することが知られています。

 

この交感神経活動を抑制する薬剤がβ遮断薬であり、心不全の予後を改善することが多数の大規模試験で証明されています。

 

β遮断薬の問題点として、心収縮能を低下させる陰性変力作用を有することがあり、そのために増量したくても逆に心不全の増悪を呈したり、血圧が低値になったり、倦怠感が出現したりして増量が困難なことがあります。

 

そこで2019年9月に登場した薬剤がイバブラジンです。イバブラジンは交感神経に作用せず、直接洞結節のHCN4チャネルに作用し心拍数を低下させます。イバブラジンには陰性変力作用がないため心収縮能を低下させることなく心拍数を抑制することが出来ます。

 

 

心機能の低下した心不全では心拍数を抑制することが予後を改善することが知られています。

心不全治療に必須であるβ遮断薬、そこにイバブラジンが登場したことにより、慢性心不全の心拍コントロールは新しい時代を迎えたと言えるかもしれません。

 

 

※ 熱海では大きな土石流も発生し、その映像を目にするたびに自然災害の恐ろしさを強く感じております。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げます。

日本不整脈心電学会学術大会で発表をしてきました

院長の山嵜です。

 

本来であれば福岡で開催予定だった日本不整脈心電学会学術大会が7月1日よりWebで開催されました。

 

今回はいつも一緒にアブレーションを行っている臨床工学技士の山田君と二人で学会発表をしてきました。

 

山田君の発表はベストアブストラクトセッションで優秀賞に選ばれました。おめでとう!!!

 

私はアブレーション時に用いる対極板の貼付位置によるアブレーションの通電効果に関する対外実験の報告をしました。

 

 

 

 

水槽を用いた実験では通電方向に対極板を配置させることでより深い焼灼部位を得ることが出来ました。

このことは通常背中側に貼付する対極板を胸部に貼付することで、心臓の前壁側の通電を行う際にエネルギー効率が上昇し、良好な通電効果が得られ、より再発の少ないアブレーションを行うことが出来る可能性があると考えています。

 

 

これからも小さな疑問を逃さず、よりよい診療をお届けできるよう日々精進していきたいと思います。

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