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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

2020年11月

心拍数の重要性

院長の山嵜です

 

先日「今注目される心拍数の意義 ~実臨床における心拍コントロールの重要性~」というテーマでWeb講演会を行いました。

 

 

 

皆さん、自分の心拍数がどのくらいかご存じでしょうか?

血圧を毎日測定している方ならよくご存じかもしれませんが、なかなかゆっくりと自分の心拍数と向き合う時間というのは少ないと思います。

一生の総心拍数は決まっていて、心拍数が早いほど寿命が短い、なんていうお話を聞いたことがあるかもしれません。

 

実際哺乳類と心拍数には非常に興味深い関係があります。

ほとんどの哺乳類において一生の総心拍数は約7-8万回であるということが報告されています。

ちなみに心拍数が1分間に約600回ととても速いネズミの寿命は約2年ととても短く、心拍数は1分間に約20回ととても遅いクジラなどはとても長生きです。(J Am Coll Cardiol 1997;30:1104–6より)

 

あれ?とお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、人間の寿命は哺乳類においても特別に長いことになります。

1分間に約60-70回の人間の寿命は80年。これは生命を脅かされることのない社会生活と、医療の発達によるところが大きいと考えられるでしょう。

 

 

40-80歳の成人を追跡調査したところ、心拍数が上昇するにつれて死亡率は高くなったという報告もあります。(European Heart Journal (1997) 18, 1404-1410より)

 

 

ではどうして心拍数が上昇すると死亡率が高くなるのでしょうか?

 

その答えの一つとして心拍数は自律神経により支配されているということが挙げられるかもしれません。

 

メタボリックシンドロームでは心拍数を上昇させる交感神経活動が亢進していることが知られています。(Hypertension. 2004;44:847-852より)

 

また人間ドックを受けた8000例以上の方を対象に心拍数が77回/分未満の群と77回/分以上の群に分けた時には、高心拍数群で糖尿病、脂質異常症、高血圧の罹患率が有意に高いことが報告されています。(Jpn Circ J 2001; 65: 969 –973より)

 

つまり心拍数が高い背景には何らかの生活習慣病が隠れている可能性が高いということになります。

生活習慣病は心筋梗塞や脳梗塞、心不全などを発症する原因になりますので、心拍数が高いことがひいては寿命を短くなることにつながるのかもしれません。

 

 

皆さんも忙しい毎日をお過ごしかと思いますが、一日の中で深呼吸をしてゆっくりとご自分の脈を計ってみる。そんな時間をぜひ作ってみてください。

青葉区医師会Webセミナー 「新型コロナウイルス感染症検査の実際」

院長の山嵜です

 

朝晩冷え込みが強くなりましたが皆さんお風邪などひいていらっしゃいませんでしょうか?

 

ヨーロッパではCOVID-19感染者が急増し、各国で外出禁止令が発令されています。

日本でも感染者数は徐々に増加傾向を認めており、インフルエンザの季節も迫る中非常に緊迫した状態となっております。

 

今回青葉区医師会で初めてのWebセミナーが開催されました。

今回のセミナーのテーマは「新型コロナウイルス感染症について」ということで、青葉区医師会新型コロナウイルス感染症対策委員として活動をしている立場から

「新型コロナウイルス感染症検査の実際」

というタイトルでお話をさせて頂きました。

 

 

検査には主にPCR検査、抗原検査、抗体検査の3つがあります。

抗体検査は主にCOVID-19に感染したことがあるかどうかの判定のみのために行われるものと考えて頂ければよいかと思います。

 

現在感染しているかどうかの判定にはPCR検査と抗原検査が使用されます。

 

【PCR(polymerase chain reaction)検査】

遺伝子の検査に用いられる手法の1つで、特定のDNA断片だけを選択的に増やして調べやすくするために用いられる遺伝子増幅技術。新型コロナウイルスはRNAウイルスなのでreverse transcription PCR法が用いられます。

鼻咽頭ぬぐい液を用いたPCR検査によるCOVID-19診断の感度は報告にもよりますが52~71%(1~4)と言われています。

1) Radiology 2020; 296:E115–E117

2) Radiology 2020; 296:E32–E40

3) Clinical Infectious Diseases 2020, 71(15): 778–785

4) N Engl J Med 2020; 382:1177-1179

 

現在発熱外来を行っている医療機関でもPCR検査は施行できるようになりましたが、ゾーニングの問題や感染リスクの問題などから全ての医療機関で検査が行えるわけではありません。

そこで青葉区医師会では皆様に安心して生活いただけるようPCRセンターを設置し、ドライブスルー方式でPCR検査の運営を行っております(PCRセンターでは鼻咽頭ぬぐい液を用いての検査になります)。

 

【抗原検査】

鼻咽頭ぬぐい液を用いてウイルスの存在を抗原検査キットを用いて判定します。

ただし適応は主にウイルス量の多い発症2日から9日となり、10日目以降では陽性率が低下してしまいます。

 

 

 

当院でも発熱・感染症の患者様で検査の必要性を判断した方には唾液によるPCR検査を行っております(保険診療による検査は公的補助によりお支払いは発生いたしません。診療費などは通常通り発生いたします)。また保険診療以外の検査(症状はないが検査を希望、会社などからの要請)は自費診療となりますことをご了承ください。

 

また発熱や風邪症状で受診をご希望の患者様は、一般外来と時間・場所を分けて診療を行っておりますので、必ず受診前にお電話でご連絡をいただけますようお願い申し上げます。

 

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