2021年03月
青葉区・緑区・都筑区 慢性心不全セミナー
3月5日青葉区・緑区・都筑区合同で開催されました慢性心不全セミナーにパネリストとして参加いたしました。
慢性心不全は年々増加しており、今後も社会の高齢化に伴いさらにその罹病率は増えてくることが予想されます。
慢性心不全は様々な心疾患を背景とした心臓病の最終病態・症候群と考えることが出来ます。
今回の慢性心不全セミナーでは新たに登場した心不全治療薬である「イバブラジン」をテーマにプレゼンテーションをさせて頂きました。
イバブラジンは心筋細胞の内向きNa電流Ifをブロックすることで、心筋の収縮力を障害することなく心拍数を徐拍化する薬剤です。
これまでは心機能の低下した心不全に対するClass1の薬剤で心拍数に直接働きかけるものはβ遮断薬しかありませんでした。
もちろんβ遮断薬は心不全にとって欠かすことのできない最重要の薬剤の一つですが、血圧低下や心不全の増悪、倦怠感などを理由に忍容性が得られないこともありました。
イバブラジンはβ遮断薬で心拍数コントロールが得られない患者にとっては非常に有効な薬剤と考えられます。
最近ではイバブラジン以外にも心不全に対する薬剤がたくさん登場してきており、慢性心不全治療は新たなステージに突入していると考えられます。
患者様の病態のサインを見逃さず、適した治療を選択する。
これからの心不全治療にはこれまで以上に幅の広い、専門的な知識が求められていると言えるかもしれません。
虹&介護報酬改定のおはなし
管理栄養士の南です。
3月も下旬となり、春らしくなってきましたね。
先週の土曜日、人生でおそらく初めて180度つながっている虹を見ました!
あわてて写真を撮りましたが、両端が映りきらず…
久々にわくわくした出来事でした。
さて、今年は3年に一度の介護報酬の改定があります。
今回の改定で管理栄養士が主としている業務である栄養関係の項目において
多くの評価をいただく改定となりました。
「栄養」「口腔」「リハビリ」は、低栄養予防のために重要な項目ですので
医療、介護連携した支援ができるよう今後も取り組んでまいりたいと思います。
長年目指していたことが少しずつ形になってきました。
もう少し軌道にのりましたら、またブログでもご案内させていただきたいと思います。
神奈川区医師会学術講演会にお招きいただきました。
2月19日神奈川区医師会学術講演会に講師としてお招きいただきました。
今回は心拍数の臨床的意義についてお話をさせて頂きました。
みなさんも哺乳類の一生の心拍数は決まっていて、普段の心拍数の速い哺乳類は短命であるというお話を聞いたことがあるかもしれません。
上図の左のグラフは様々な哺乳類の1分間の心拍数と平均寿命を示しています。
1分間に心拍数は600回もあるマウスの寿命は約2年半と非常に短く、心拍数20回前後のクジラの寿命は非常に長くなっています。
右のグラフは各哺乳類の生涯総心拍数で、ほとんどの哺乳類では生涯総心拍数は7から8億回と統一されていることがわかります。つまり心拍数が速いことは短命のリスクがあるということにつながるかもしれません。
この関係は人間にも当てはまるという報告がいくつもあります。
こちらはドイツで40-80歳の健常者を対象に行われた調査における心拍数と死亡率の関係を示したグラフです。
横軸が心拍数、縦軸が死亡率ですが、心拍数が速くなるにつれて死亡率は上昇しています。
心拍数が20上昇すると死亡率のHRは男性で1.7,女性で1.4と増加することが明らかとなりました。
心拍数が速い背景には交感神経活動の亢進が関与している可能性があります。
メタボリックシンドロームは複数の動脈硬化リスク因子を有する病態ですが、メタボリックシンドロームでは交感神経活動が亢進し、心拍数が速いことが知られています。
臨床現場でもなぜ心拍数が速めなのか?その背景に動脈硬化のリスク因子が存在していないか?
そのような目でしっかりと患者様一人一人を見ていくことが臨床医として重要と考えています。