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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

2020年02月

安全に食べるための食支援(KTバランスチャート)

管理栄養士の南です。

前回に引き続き小山珠美先生の研修会のお話です。

 

今回はKTバランスチャートについてご紹介させていただきます。

 

KTバランスチャート

看護師の小山珠美先生が長年の実臨床で養った、食べる支援に必要な要素を専門家でなくても評価でき、ケアに生かせるように開発されたツールです。

 

「食べたい」と願っている方にどのようにケアしたら「食べる力が改善していくのか」という視点に立って作られました。

 

①食べる意欲

②全身状態

③呼吸状態

④口腔状態

⑤認知機能

⑥咀嚼・送り込み

⑦嚥下

⑧姿勢・耐久性

⑨食事動作

⑩活動

⑪摂食状況レベル

⑫食物形態

⑬栄養

 

の13項目をそれぞれ1~5点で評価しレーダーチャートにして「強み」「弱み」を可視化することでわかりやすくすることができます。

 

ホームページ上から詳細が閲覧できますので、ぜひ「KTバランスチャート」を一度検索

してみて下さい。

 

 

私が初めてKTバランスチャートを学んだのは、まだ当院に入院病床がある頃でした。

咀嚼嚥下機能に障害のある患者様も多くいらっしゃいましたが、当院には言語聴覚士がおらず、またVF(嚥下造影検査)やVE(嚥下内視鏡検査)などの設備もありませんでしたので、安全な食事の提供について悩むことも多くありました。

 

KTバランスチャートを知って、まずは自分が習得し院内に広めていこう!と思った矢先の入院病棟閉鎖でした…。

 

 

現在、担当している患者様にKTバランスチャートが必要と思われる患者様はいらっしゃらないので、実臨床での出番はないのですが、必要な時期が来たら使いこなせるよう準備をしておきたいと思います。

 

 

最近、患者様とのお話の中で「終活」という言葉も度々聞かれるようになりました。

人は誰でもいつか食べることが難しくなります。

 

もちろん「食べる」ためにできる支援もたくさんありますが、「お食い締め」という言葉も登場し、「栄養の選択」についてのお話もさせていただいております。

 

人生の最期まで寄り添える管理栄養士になれるよう包括的視点から食支援を行うことが私の目標です。

 

以上研修報告でした。

今月は研修月間!しかも、摂食嚥下に関する内容が続きます。時代の流れに遅れない様学んでいきたいと思います。

安全に食べるための食事介助技術

管理栄養士の南です。

 

NPO法人 口から食べる幸せを守る会 理事長
看護師  小山珠美先生の研修会に久々に参加してきました。

 

神奈川県栄養士会主催の研修会でしたが、
なんとお隣の管理栄養士さんが「南さん」でした。

偶然の出会いに運命感じてしまいました★ 

 

研修の冒頭、死因についてのお話がありました。
現在日本人の死因の第3位は老衰です。

 

厚生労働省 平成30年人口動態統計月報年計より引用

 

老衰とは心身が複合的に衰弱することですが、死亡診断書記入マニュアルでは
「高齢者でほかに記載すべき死亡原因のない、いわゆる自然死」と定義されています。
高齢になると複数の疾患を抱えていることも多く、その判断は難しいそうです。

 

しかし共通する点として、人生の最期は食べることができなくなります
全身の慢性的な炎症により細胞の数が減少し、臓器の機能が低下します。
消化管の機能も低下するため、食事を摂っても吸収することが難しくなり身体は
痩せていきます。最終的には食事を受けつけなくなります。

 

摂食嚥下機能の低下40歳代から始まるといわれています。
個人差も多くあるため、違和感を感じ始めたらお早めにご相談下さい。

 

当院では摂食嚥下リハビリテーション学会分類2013を用いて摂食嚥下機能低下に対する栄養指導
を実施しております。お気軽にお問い合わせください。

 

今回の研修では食事介助の実習がありました。
自分で食事をすることが困難な際は介助者による「食事介助」により食事をすることがあります。
不適切な介助は誤嚥や窒息などのリスクが高まり大変危険ですので、食事介助を担当する際は介助技術が重要となります。

 

右利きの患者様へは右側から右手で、左利きの患者様へは左手側から左手で

患者さんの手になる様に介助する!

今まで角度や姿勢など、頭で考えていましたが、自分が食事をする時をイメージして実践すればよい食事介助ができそうだ!と新たな発見です。

 

↑↑↑
実際こちらを用いて、水の嚥下やゼリーの介助をお隣の南さと一緒に行いました。
ちなみに、写真のスプーンは介助には不向きです。柄の長いティースプーンが適しています。

 

長くなりましたので、この続きはまた次回ご紹介させていただきます。

健康教室「サプリメントについて」 part2

院長の山嵜です。

今回は前回に引き続きまして「サプリメントについて」の2回目です。

 

前回は

・健康食品の分類

・ビタミンのサプリメントについて

・プロテインについて

といった内容でお届けいたしました。

 

 

今回はその続きをお届けいたします。

 

まずはこれもたくさんのサプリメントがありますね。

魚の脂と言えば・・・、そうEPAです。

 

【EPA】

EPAには以下のような働きがあることが知られています。

❶ 血清脂質低下作用

❷ 抗血小板作用

❸ 動脈の伸展保持作用

 

日本人の高コレステロール血症患者を対象としたJELIS試験※では、高純度のEPA1.8g/日を摂取することにより、冠動脈イベントの発生率を19%低下することが証明されました。

特に、高中性脂肪、低HDLコレステロール患者では53%も冠動脈イベントの発症を抑えることが出来ました。

※JELIS試験:Lancet 2007;369:1090-1098

 

 

しかし、海外のEPAを用いた大規模試験では冠動脈イベントの発症率に有意差が認められなかった報告もあります。この差は何でしょうか?

 

 

それはEPAの摂取量の違いと考えられています。

 

このことからEPAはJELIS試験で証明されたように

「高純度のEPAを1.8g/日など高用量摂取する」

ことが重要と考えられています。

 

たくさんのEPAサプリメントが販売されています。

EPAサプリメントと謳っているもののごく少量しか含有していないサプリメントがたくさんあります。

購入される際には用量をしっかりとチェックして頂ければと思います。

 

 

 

最後に外来で最も質問の多かったこのサプリメント「グルコサミン」についてです。

 

【グルコサミン】

「グルコサミンとは軟骨に含まれる、ヒアルロン酸、コンドロイチンなどの主成分となるアミノ酸のことです。このグルコサミンですが、体内ではブドウ糖から合成されます。」

 

グルコサミンを含んだサプリメントのコマーシャルは、見られたことがない方の方が珍しいのではないでしょうか。

 

そこである有名メーカーのグルコサミンサプリメントのHPを拝見いたしました。

そこにはこんなデータが。

「グルコサミンを内服した群では変形性膝関節症の痛みが軽減されました!」

とグラフ付きで記載されていました。

 

しかし、元となっている論文(Jpn Pharmacol Ther. 43, 1017-1023,2015)をよく読んでみると、

「K-L分類 grade1(変形性膝関節症が疑われる程度)の軽症患者の疼痛の自覚は改善したが、それ以上の患者では疼痛軽減の効果が見られなかった」

という結果でした。

怖いですね。

論文の一部を抜粋してあたかも全ての患者に効果があったように見せている。そう思われてもおかしくないかもしれません。

 

グルコサミンを摂取することで膝関節の軟骨に成分が届いて軟骨を修復する。そういう考えからグルコサミンのサプリメントが出回っているかと思いますが、関節軟骨には血管が少なく経口摂取した成分が軟骨に十分届くとは思えません。

 

ある論文(Rheumatol. Int. 38 (8): 1413–1428)ではグルコサミンについてこのように結論していました。

「現在、変形性関節症に対するグルコサミンの使用を支持する良好なエビデンスはない」

 

 

私は決してグルコサミンのサプリメントを否定する立場ではありませんが、このようにまとめたいと思います。

「グルコサミンの効果は強いものではありません。

 漫然と服用することは控え、

 運動や減量など、他の方法も併用しましょう」

 

 

以上抜粋ではありますがサプリメントについての健康教室の内容を記させて頂きました。

 

私は自分の体に合っている気がすると言うのであれば、副作用や現在内服中の薬との相互作用がなければサプリメントを使用することは問題ないと考えています。

 

過剰な広告や、一部のデータを用いたコマーシャルなどに騙されることなく、賢いサプリメントライフをお過ごしください。

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