SURIフォーラムin横浜北部で高尿酸血症について講演会を行いました。
院長の山嵜です
本日は横浜北部の先生方を対象に尿酸についてのお話をさせて頂きました。
高尿酸血症はこれまで痛風の原因疾患という観点で認識されておりましたが、最近では心血管疾患や腎疾患、そして新型コロナウイルス感染症の危険因子という幅広い分野で注目されてきました。
痛風の方は日本に125万人いると言われていますが、高尿酸血症はその10倍1250万人いるのではないかと考えられています。
尿酸は本来抗酸化物質として体を守る重要な働きを担っています。実は抗酸化物質の約半分を占めると言われているのです。
しかしそんな善玉の働きを有する尿酸も、体の中で過剰になると今度は酸化物質、つまり悪玉として働くようになってしまいます。
メタボリックシンドロームでは尿酸が高くなり、また尿酸が高くなるとメタボリックシンドロームを発症しやすくなってしまいます。まさに悪循環です。
メタボリックシンドロームで尿酸が高くなるメカニズムの一つが、近位尿細管にあるURAT1という尿酸再吸収トランスポーターの活性化です。
インスリン抵抗性が上昇すると近位尿細管でのナトリウム再吸収が促進され、それに伴い乳酸等の有機酸再吸収が起こります。有機酸はURAT1を介して排泄されますが、それと引き換えに尿酸の再吸収が生じるわけです。
高尿酸血症には大きく3つの病型分類があります。
❶ 尿酸排泄低下型
❷ 尿酸産生増加型
❸ 腎外排泄低下型
このうち最も多いのが尿酸排泄低下型です。
当院で検討したデータでは未治療の高尿酸血症の75%が尿酸排泄低下型を示していました。
こうした背景からも尿酸排泄を促進する薬剤が日本人では適していると考えることが出来ます。
これまでは尿酸産生を抑制するキサンチンオキシダーゼ阻害薬が主に使用されていましたが、URAT1阻害薬の使用を見直す時期が来ているのかもしれません。
それぞれの薬剤に長所短所がありますので、適した薬剤を選択することがこれからの高尿酸血症治療には重要ではないかと思います。
高尿酸血症や痛風でお悩みの方がいらっしゃいましたらいつでもお気軽にご相談下さい。