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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

子どもの発熱 どう対応する? 子どもの発熱と解熱剤のしくみ  たちばな台クリニック小児科 秋谷 進

子どもの突然の発熱は、とても心配なことです。
しかし、発熱は体がウイルスや細菌と戦っている重要なサインでもあります。

この記事では、発熱のメカニズム、解熱剤について、小児科医の立場から分かりやすく解説します。

 

■発熱のしくみ

①体が熱を出す仕組み

ウイルスや細菌といった小さな敵が体の中に侵入すると、白血球などの免疫細胞が感知し、「サイトカイン」を放出するようになります。サイトカインが血液の流れに乗って脳に運ばれると、情報伝達物質「プロスタグランジン」が作られます。

このプロスタグランジンが、脳の体温をコントロールしている「体温調節中枢(視床下部)」に働きかけ、体温を上昇させるよう指令が発せられるのです。

②生体防御反応としての発熱
発熱は、体を守るための重要な「生体防御反応」の一つです。体温が上昇することにより、多くのウイルスや細菌は増殖しにくくなります。例えば、インフルエンザウイルスなども、高い熱には弱いのです。

体温が上昇すると、私たちの免疫システムで働く白血球などの免疫細胞がより活発に、そして効率的に病原体と戦えるようになります。熱を出すことで、体は病気を早く治そうと頑張っているのです。

 

■子どもの解熱剤、大人とどう違うの?~安全な解熱剤の選び方~

発熱した子どもに処方される解熱剤は、主に「アセトアミノフェン」という成分のものです。アセトアミノフェンが熱を下げる詳しい仕組みは、まだ完全には分かっていません。しかし、アセトアミノフェンが脳の体温調節中枢に作用し、血管を広げて体の外へ熱を逃がしやすくして体温を下げると考えられています。大人が熱や痛みでよく使うロキソプロフェン(商品名:ロキソニン®など)や、ジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン®など)といった解熱鎮痛薬は、「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」という種類です。NSAIDsは、体温を上げる原因物質であるプロスタグランジンが作られるのを抑えることで熱を下げます。しかし、1999、2000年の厚生科学研究で、子ども、特にインフルエンザなどの特定のウイルス感染症にかかっている場合にNSAIDsを使用すると、死亡率が高くなることが報告されました。そのため、日本小児科学会からも「インフルエンザの際にはアセトアミノフェンが適切であり、NSAIDsの使用は慎重にすべき」という提言が発出され、原則として子どもには使用しません。

熱があっても比較的元気で、水分も取れて眠れているなら、急いで使う必要はありません。一般的には38.5℃以上で、子どもがつらそうにしている場合が使用を考える目安です。

 

詳しくは以下を参照してください。

秋谷進.東京報道新聞.子どもの発熱 どう対応する?発熱と解熱剤の正しい知識と理解.

子どもの発熱 どう対応する?発熱と解熱剤の正しい知識と理解 – 東京報道新聞

 

 2025.08.13  たちばな台クリニック小児科 秋谷 進

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