2022年08月
「糖尿病における睡眠時無呼吸の重要性 ~注目すべきCPAP治療への期待~」
院長の山嵜です。
新型コロナウイルス感染症第七波の影響を受け皆様も大変な日々をお過ごしのことと存じます。
当院でも発熱外来を行っておりますが、全ての受診希望をお受けすることが出来ず、また電話も非常につながりにくくなっておりご迷惑をおかけしておりますことをこの場を借りてお詫び申し上げます。
さて本日はそのような中 高齢者糖尿病セミナーにおきまして
「糖尿病における睡眠時無呼吸の重要性 ~注目すべきCPAP治療への期待~」というテーマでお話をさせて頂きました。
わが国における睡眠時無呼吸の推定患者数は2,200万人、そして糖尿病(境界型を含む)の推定患者数は2,000万人と言われております。
近年この二つの疾患の間には強い関係が存在する事が明らかとなってきました。
睡眠時無呼吸がもたらす大きな弊害は二つ
この間欠的低酸素と睡眠の断片化が耐糖能にどのような影響を与えるのでしょうか?
❶ 間欠的低酸素はインスリン抵抗性を増強する
❷ 間欠的低酸素は交感神経活動を亢進させる
❸ 間欠的低酸素と睡眠の断片化はストレスとなりHPA-axisを活性化しコルチゾールの分泌を促進させる
➍ 間欠的低酸素は膵臓における活性酸素種の産生を増加させる
以上のようなメカニズムにより糖尿病発生の一因となると考えられています。
ではこのカスケードの最上流に位置する睡眠時無呼吸を改善させることで糖尿病は改善するのでしょうか?
睡眠時無呼吸に対して最大の効果を有する治療選択肢はCPAP治療です。
2型糖尿病合併睡眠時無呼吸患者を、CPAP治療群とCPAP非治療群に分けて6か月間のfollow-upを行った試験がこちらです。
CPPA治療によりなんと半年間でHbA1c 0.4%の改善を得ることが出来ました。投薬の変更なく0.4%の改善は十分に価値のあるデータと言えるでしょう。
当院では現在180名程度のCPAP治療を行っておりますが、糖尿病や高血圧の背景に存在する睡眠時無呼吸を見逃すことなくより良い診療をお届けすることが出来るよう努めていきたいと思います。