2024年05月
SURIセミナー ~心腎尿酸症候群という概念~
院長の山嵜です。
昨日はSURIセミナーで
「高尿酸血症は心腎保護の時代へ ~病型分類の重要性とSURIという選択~」
というテーマでお話をさせて頂きました。
痛風の原因疾患、そしてメタボリックシンドロームのサロゲートマーカーとして扱われてまいりました高尿酸血症ですが、近年多くの疾患のリスク因子であることが明らかとなってまいりました。
特に最近では高尿酸血症と心血管疾患、腎機能障害との強い関連に注目が集まっています。
高尿酸血症が心血管疾患をもたらすメカニズムの一つが内皮機能障害です。
尿酸そのものがもたらす酸化ストレスや炎症、またキサンチンオキシダーゼがキサンチンやヒポキサンチンを参加する際に発生する活性酸素種、そして尿酸塩結晶がインフラマソームを介して炎症性サイトカインの産生が内皮機能障害をもたらす要因とかんがえられております。
そしてDual energy CTにより、尿酸塩結晶が冠動脈や大動脈にも沈着していることが明らかとなり、尿酸塩結晶が上記のメカニズムにより動脈硬化の進展に関与していることが推察され、
「血管内痛風」という考え方も登場するようになりました。
高尿酸血症が腎機能障害をもたらす病態としては尿酸塩結晶が尿細管や腎間質に沈着することで間質性腎炎を発症する「痛風腎」が最も有名です。
しかし、尿酸塩沈着が生じなくとも高尿酸血症が腎機能障害を生じることが明らかとなってまいりました。
以上のように高尿酸血症な心血管疾患と腎機能障害に深く関係していることを踏まえ、「心腎尿酸症候群」という概念を提唱させていただきたいと思います。
高尿酸血症をメタボリックドミノの中心として認識し、実臨床において早期から積極的な介入をすることで、心血管疾患および腎機能障害の発症を抑制することが出来るかもしれません。
当院では高尿酸血症の病型分類を行ったうえで、一人一人の患者様に適した治療を選択しております。
お困りのことがございましたらぜひお気軽にご相談ください。