2025年04月
子どもの近視は1日1時間のスクリーンタイムでも進む可能性 スクリーンタイムと近視の関係
パソコン、スマートフォンやタブレット端末が広く普及し、子どもの頃からこれらのデジタルスクリーンを見ているという人が多くなっています。そんな時代に気になるのが「近視」です。
スクリーンを長く見ていると近視になるというイメージは皆さんお持ちだと思いますが、実際にデジタルスクリーンを見ている時間と近視の関係についてよく知っているという人はなかなかいないかもしれません。
今回はデジタルスクリーンの使用時間と近視の関係について調べた研究をまとめた論文について紹介します。
タイトル: Ahnul Ha ,Yun Jeong Lee,Marvin Lee,et al.Digital Screen Time and Myopia: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis.JAMA Netw Open. 2025 Feb 3;8(2):e2460026. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.60026.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39982728/
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11846013/
ソウル国立大校医学部眼科学のYoung Kook Kim氏らは1日当たりのスクリーンタイムが1時間増えるごとに近視になるリスクが高まり、近視になる傾向が21%上昇する可能性を報告しました。詳細は「JAMA Network Open」2025年2月21日に掲載されました。
■研究の方法
この研究はこれまでに行われた、デジタルスクリーン使用時間と近視リスクの関係についての研究論文を集めてそれらを解析する手法で行われました。対象はデジタルスクリーン機器(スマートフォン、タブレット、ゲーム機、コンピュータ、テレビ)の使用時間と近視関連の関係を調査した一次研究の論文が選ばれました。
■研究の結果
対象になった論文の数は45でした。それらの研究の対象者を合わせた3,355,241人が解析の対象となりました。(平均年齢9.3±4.3歳)
解析したところ以下のことが判明しました。
1日にデジタルスクリーンの使用時間が1時間増えるごとに近視のリスクは上昇しました。しかし、1日1時間までのスクリーン時間では近視との関連は見られませんでした。
つまりデジタルスクリーンの使用時間1時間以下では近視のリスクにはならず、それ以上になると1時間増えるごとに近視のリスクが明らかに上昇するということがわかったのです。
子どもの近視を予防するためには可能であれば画面を見る時間は1日1時間以内にしましょう。どうしても1時間を超えてしまうという場合でもできるだけ短くすれば近視のリスクを下げることができます。
■小児科医から
今回はデジタルスクリーンの利用時間と近視リスクの関係についての研究を紹介しました。研究結果をみると「ゲームは1日1時間」は科学的に根拠のある理論なのかもしれません。
しかし、タブレット端末が配布され、書き取りの宿題等がタブレット提出の学校もあります。子どもの頃からさまざまなデジタルスクリーンを使用しないといけない時代ですから、必要のない時にはできる限り使用せずに過ごすようにしましょう。
2025年4月8日
たちばな台クリニック小児科 秋谷 進