第27回たちばな台健康教室 ~糖尿病は完治できる?~
院長の山嵜です。
少し暖かくなるとともに花粉症の方にはつらい季節になって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
2月の健康教室は糖尿病についてお話をさせて頂きました。
冷たい小雨の降る中70名弱の皆様に参加して頂きました。
本当に有難うございました。
糖尿病の原因には大きく2つあります。
❶ インスリン抵抗性の増大
❷ インスリン分泌低下
過食などにより脂肪細胞が肥大するとアディポネクチンの分泌が低下し、TNF-αなどの炎症を惹起するアディポサイトカインが増加することでインスリンの作用が低下してしまいます。
また日本人は欧米人に比べ人種的にインスリン分泌能が低下していることが知られています。
そのため日本人では欧米人に比べ、軽度のインスリン抵抗性増大により糖尿病を発症してしまう事になります。
今回の講演では、運動療法によるインスリン抵抗性の改善とアディポネクチン分泌の増大効果についてお話させて頂きました。
また管理栄養士の南先生からは地球会食とDASH食をみっくすさせたMind食、そして食物繊維についてお話をして頂きました。
昨年Cell Metabolismに掲載された「DIRECT」試験では肥満を伴う2型糖尿病患者に厳格な食事・運動療法を施行し減量を行ったところ、64例中 29例 (46%) で糖尿病が改善・緩解したことが示されました。
減量により肝臓に含まれる脂肪は16.0%から3.1%に減少。膵臓に含まれる脂肪も減少していました。
糖尿病が緩解した群としなかった群では、食事10分後のインスリン分泌能に有意差があり、緩解群ではインスリン分泌能が改善。
この結果は低下した膵β細胞の機能がリセットされ改善したことを示唆しています。
糖尿病は「一度かかれば、生涯完治することはない」とされていましたが、発症早期より生活習慣を改善することで完治できる可能性があるのだという事を示唆する非常に印象的な報告だと思います。
今回の講演では新しい糖尿病薬についてもお話しする予定でしたが、生活習慣の改善が予想以上に密度の濃い内容になってしまったため薬の話まですることが出来ませんでした。
そちらにつきましてはまたぜひ次の機会に。
それではまた皆様のご参加を心よりお待ちしております。