漢方で夏を乗り切る!
今年の夏も暑かったですね。
10月に入りようやく秋の気配を感じられるようになりました。
8月29日に「漢方で夏を乗り切る!」というテーマで健康教室を開催致しました。
夏バテの原因は日本の特徴的な気候 高温多湿 にあるのかもしれません。
ここで症例を1例
【症例】70歳 男性
【病歴】長い梅雨が明け、毎日畑での仕事をしていました。水分摂取には気を付けていたが、徐々に
疲労が抜けなくなり、食欲も低下。少し動くと胸がドキドキしたり、息が切れたりするように
なったため当科受診となった。
【処方】清暑益気湯
このような典型的な夏やせは気や水の不足と考えられます。
清暑益気湯は黄耆・人参・陳皮・黄柏・麦門冬・蒼朮・当帰・五味子・甘草が含まれます。
黄耆と人参を含む漢方薬を参耆剤と呼び、体力・気力を補う効果を持ちます。
また、人参、麦門冬、五味子は乾いた身体を潤してくれる働きを持ちます。
低下した消化機能に対しては、人参・黄柏・蒼朮・陳皮が調子を整えてくれます。
以上の生薬の効果から
「気を補い、身体を潤して、食欲を改善させてくれる」
それが清暑益気湯の効果です。
夏バテには様々な原因があります。
最近は空調の効いた室内で多くの時間を過ごし、体調を崩される方もたくさんいらっしゃいます。
このように暑さと冷えの間で自律神経のバランスが崩れてしまった方には
柴胡桂枝乾姜湯などが有効かもしれません。
柴胡桂枝乾姜湯は力がなく、貧血気味で、口が渇き、動悸(どうき)や息切れがあり、神経過敏な人
の、更年期障害やいわゆる血(ち)の道症、神経症、不眠症などに用いられる漢方薬です。
暑さと冷えにより過敏になった神経をいやし、体の熱や炎症を取って、心身の働きを整えてくれるわけ
です。
南先生からは秋の薬膳についてお話をして頂きました。
秋は「肺」の動きが活発になる季節です。
肺は東洋医学では呼吸や気、水分代謝の調節を行う臓器とされています。
この肺の動きが活発になりますと皮膚や髪の乾燥や、喘息の増悪を来すことになります。
そこで秋の養生のポイントは「暑さを取り除きながら、肺を潤す」です。
というわけで、水を補うズッキーニを使ったレシピを紹介して頂きました。
ズッキーニと豚肉の甘辛炒め
今回ご紹介した漢方薬はあくまでも一例です。
漢方や薬膳をうまく利用して、年々過ごしにくくなってくるなつを上手く乗り切りたいですね。