神奈川区医師会学術講演会にお招きいただきました。
2月19日神奈川区医師会学術講演会に講師としてお招きいただきました。
今回は心拍数の臨床的意義についてお話をさせて頂きました。
みなさんも哺乳類の一生の心拍数は決まっていて、普段の心拍数の速い哺乳類は短命であるというお話を聞いたことがあるかもしれません。
上図の左のグラフは様々な哺乳類の1分間の心拍数と平均寿命を示しています。
1分間に心拍数は600回もあるマウスの寿命は約2年半と非常に短く、心拍数20回前後のクジラの寿命は非常に長くなっています。
右のグラフは各哺乳類の生涯総心拍数で、ほとんどの哺乳類では生涯総心拍数は7から8億回と統一されていることがわかります。つまり心拍数が速いことは短命のリスクがあるということにつながるかもしれません。
この関係は人間にも当てはまるという報告がいくつもあります。
こちらはドイツで40-80歳の健常者を対象に行われた調査における心拍数と死亡率の関係を示したグラフです。
横軸が心拍数、縦軸が死亡率ですが、心拍数が速くなるにつれて死亡率は上昇しています。
心拍数が20上昇すると死亡率のHRは男性で1.7,女性で1.4と増加することが明らかとなりました。
心拍数が速い背景には交感神経活動の亢進が関与している可能性があります。
メタボリックシンドロームは複数の動脈硬化リスク因子を有する病態ですが、メタボリックシンドロームでは交感神経活動が亢進し、心拍数が速いことが知られています。
臨床現場でもなぜ心拍数が速めなのか?その背景に動脈硬化のリスク因子が存在していないか?
そのような目でしっかりと患者様一人一人を見ていくことが臨床医として重要と考えています。