Yokohama Brain Conference
院長の山嵜です。
最強寒波の極寒の中皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は12月15日脳神経外科の先生を対象に開催されましたYokohama Brain Conferenceについてお話をさせて頂きたいと思います。
こちらの会では大変お世話になっております横濱もえぎ野クリニックの泉山先生にお声掛けを頂き
「高血圧診療Update ~ARNIがもたらす新たな高血圧治療戦略~」
というテーマで講演をさせて頂きました。
「高血圧は脳卒中および心血管イベントの最大のリスク因子である。」
これがkey wordになります。
下の図は日本においてどのようなリスク因子が脳心血管死に関与しているのかを表したグラフになりますが、圧倒的に高血圧の関与が強く、高血圧関連脳心血管死は年間約10万人におよぶと考えられております。
ではどの程度に血圧をコントロールすれば脳卒中イベントは減少するのか?
高齢であれば血圧は高くても良いのではと考えられていた時代もございましたが、現在は75歳未満の方や高度狭窄を有さない脳血管疾患の方、冠動脈疾患の既往のある方、糖尿病の方、蛋白尿を有する慢性腎臓病の方では診察室血圧を120台にコントロールする事が高血圧ガイドライン2019でも推奨されております。
下は血圧を130を目標に治療をした方と、140を目標に治療を行った方の脳卒中イベントを評価したメタ解析になりますが、130を目標に厳格に高血圧の治療を行った群で22%脳卒中の発症リスクが低下する事が示されております。
血圧には日内変動があり、早朝高血圧が心血管イベントのリスク因子であることが知られています。
脳卒中発症にも日内変動があり、下記の2つの試験結果からも脳卒中の発症は朝から午前中にかけて多いことが報告されております。
早朝高血圧は2つのタイプに分類されます。
① Surge type:朝方急激に血圧が上昇するタイプ
② Nocturnal hypertension type:夜間の血圧が高く、そのまま朝まで高いタイプ
高血圧の治療目標の一つは朝の血圧をいかにコントロールするかがポイントです。
・塩分摂取が多くないか?
・睡眠時無呼吸症候群が存在しないか?
・糖尿病、慢性腎臓病、心不全などが存在しないか?
・アルコール摂取が過剰でないか?
・不眠症がないか?
・起床後すぐに喫煙をしていないか?
・寒い部屋で眠っていないか?
などなど要因を挙げ始めればきりがありません。
高血圧の治療は降圧薬をパッと処方するだけではなく、このような要因の存在や背景にある生活習慣を考え、きめ細やかに投薬調整を行うことが重要となります。
血圧治療で何か不安なことがございましたらいつでもお気軽にご相談ください。お待ちしております。