心不全・高血圧におけるエンレストの適正使用について考える
院長の山嵜です。
11月24日(金) 浅草ビューホテルにお招きいただき
「Stage Aから始める心不全診療」というテーマで講演させて頂きました。
ちなみに本講演会の座長はなんと富山大学時代の同級生である、あやせ循環器クリニック所長の多田博子先生でした(久しぶりの再会で盛り上がりました)!
わが国における年間の新規心不全発症者数は約30万人ともいわれ、現代はまさに心不全パンデミックの時代と言っても過言ではありません。
心収縮能の低下した心不全HFrEFに対しては新たな薬剤が次々に登場し、SGLT2阻害薬 ARNI β遮断薬 MRAの4剤を軸とした治療の有効性が多く示されております。
一方心収縮能の保持された心不全HFpEFではこれまで体液貯留を認める患者に対する利尿薬以外には推奨される薬物治療はありませんでした。
近年DELIVER試験やEMPEROR-Preserved試験などでSGLT2阻害薬の有効性が示され、またARNIもPARAGON-HF試験で適正な患者を選択する事でその可能性を示すなどHFpEFに対する治療も変革を迎えています。
しかしそれでも心不全を発症してしまったStage Cと予備軍であるStage A, Bとの間には大きな予後の差が存在します。
私たち開業医の使命としてはStage C心不全の治療はもちろん、Stage A,BをどれだけCに進行させないかという事を考えながら日々治療を行っていく必要があります。
「高血圧は最大の心血管リスク因子である」
理想的な血圧治療は何か?
ただ血圧を下げるだけであればどんどん薬剤を増やせば良いでしょう。ただしそれは医師の治療ではありません。
患者様の病態を考え、どの降圧薬を選択するべきか、降圧目標をどこに置くべきか、血圧を下げることで何が期待できるのか、そこまで考えて治療を行う事が医師の役割と言えるのではないでしょうか。