研修報告(糖尿病)②
管理栄養士の南です。
前回に引き続き、糖尿病に関する研修報告です。
先日、第15回横浜西部・中部地区CDEフォーラムに参加してきました。
実はこの日は息子の体育祭。午後からの研修だったので、少し遅れて参加
できるかな?と思っておりましたが、体育祭途中で豪雨に見舞われ午後の部が
延期となり、満を持して開始からの参加となりました!
◎糖尿病関連骨粗鬆症◎
糖尿病と骨粗鬆症の関連については、
☑糖尿病の治療薬には骨粗鬆症のリスクが上がるものがある
☑高血糖によるAGE(最終糖化産物)により骨芽細胞の働きが抑えられ骨形成が低下する
ことなどにより骨粗鬆症になりやすくなります。
また、
☑食事療法で減量したことによる骨量減少
☑積極的に食物繊維を摂取することでカルシウムの吸収を妨げる
☑エネルギー制限によるカルシウム摂取不足
食事療法をすることがリスクを高めてしまいかねない事実!
血糖コントロールだけでなく、全体をみていく必要性を改めて感じました。
食品に含まれる栄養素を様々な視点から複合的にみて、食事支援をするのは
管理栄養士の職務!がんばります。
ちなみに骨粗鬆症の治療は当院で実施しておりますので、心配な方は医師へご相談下さい。
◎糖尿病の食事療法 up to date ◎
まもなく改定が予定されている糖尿病診療ガイドラインを見据えたお話も拝聴
することができました。まだ詳細は決まっていないそうですが、従来とは少し
変わってきそうです。
特にエネルギーの設定については長らく標準体重をもとに算出されてきましたが、
算出方法についても応用力が求められるようになりそうです。
個別化という単語を近年の研修ではよく耳にしますが、個別化すればするほど
支援者の質が問われるため、大変です!
さて、私も日頃お勧めさせていただいている食べ順についてですが、
野菜→ごはん でも 肉・魚→ごはんでも 食後の血糖上昇はごはんを先に食べる
より抑えられますのでベジファーストではなくメインファーストでもOKです。
ここで重要なのが「たんぱく質」。
ベジファーストでベジだけでおなかいっぱい!は避けなければならないので、
食事量が多く摂れない方はメインファーストをお勧めさせていただいております。
高齢者はたんぱく質の合成力が低下すると言われています。
従ってたんぱく質をたくさん摂取しないと必要な量が摂取できません。
しかし、同時に腎機能が低下していることも多くなり、たんぱく質の過剰摂取
は腎臓への負担ともなります。
腎臓病のステージによってはたんぱく質制限が現在推奨されておりますが、
サルコペニアの回避についても考えなければなりません。
この矛盾に葛藤する日々です。
◎NAFLD/NASH診断治療の up to date◎
NAFLD…非アルコール性脂肪性肝疾患(アルコール以外の要因でおこる脂肪肝の総称)
NASH…非アルコール性脂肪肝炎(脂肪肝でとどまらず徐々に進行する肝臓病)
「脂肪肝」 健康診断でよく目にする言葉ですね。
以前はアルコール以外の要因による脂肪肝は心配ないと言われていましたが、現在
そうした脂肪肝の一部は肝硬変、肝臓がんへと進行することがわかってきています。
しかし、この脂肪肝に対する治療薬は現在ないので、食事療法、運動療法が大切に
なってくるわけですが、肝臓は沈黙の臓器と言われ、脂肪肝でとどまっているのか
繊維化が進んでいるのか自覚症状ではよっぽど進まないとわかりません。
そこで、FIB-4-indexというAST、ALT、血小板数から計算して得られる値が、NASHの可能性があるかないかをみていく上で役立ちます。
腹部超音波検査で「脂肪肝」と診断されたら評価してみることがお勧めだそうです。
また、脂肪肝があるといずれ糖尿病を発症するリスクが高くなるようです。
侮れない脂肪肝、健康診断で脂肪肝と言われたら、お早めのご相談をお勧めします。
ちなみにここで言う「非アルコール性」の定義は
1日あたりの純エタノール量が男性30g、女性20gですので、乾杯程度の飲酒習慣
の方は非アルコール性となるのです!!
以上3題の講演レポートでした。
さて6月も残すところ1週間。今週は毎月恒例の健康教室があります。
6月27日(木) 午前10:00~ クリニック4階にて
今回のテーマは山嵜院長の専門「心房細動について」です。
私は、梅雨の薬膳でレシピを作成中です!(まだ完成してません…汗)
ご予約不要となっております。梅雨まっただ中お天気が心配ですが、お気軽にご参加下さい。