院長より
脳梗塞の原因は心臓に! ~心房細動のすべて~
6月27日(木)「脳梗塞の原因は心臓に! ~心房細動のすべて~」のテーマで健康教室を開催しました。
さらに、今回は同様のテーマで午後には若草台地区センターでも講演の機会を頂きました。
脳梗塞は要介護者の原因の第2位であり、要介護5の原因としては第1位の疾患です。
脳梗塞は以下の3つに分類されます。
➊ ラクナ梗塞
❷ アテローム血栓性脳梗塞
❸ 心原性脳塞栓症
このうち心原性脳塞栓症は死亡率約12%と重症度が非常に高く、約半数で重度な後遺症を残すと言われています。
この心原性脳塞栓症の主な原因となるのが「心房細動」です。
心房細動は心房が1分間に約400回で痙攣を起こすため、心房内に血の塊「血栓」を形成します。
巨大心内血栓
この血栓が血流にのって脳の血管に詰まってしまうと脳梗塞を発症するのです。
心原性脳塞栓症の最大の予防は「抗凝固療法」、つまり血液さらさらのお薬です。
抗凝固療法には50年の歴史を持つワルファリン、そして近年発売された直接経口抗凝固薬:DOACがあります。
DOACは現在日本で4種類が発売されておりますが、いずれも有効性はワルファリンに劣ることなく、また安全性はワルファリンよりも高いことが示されています。
これらの抗凝固薬を内服することで脳梗塞のリスクを低下させることが出来ます。
それぞれの抗凝固薬には特徴があり、一人一人の患者様の特徴に合わせて薬を選択することが重要です。
一生抗凝固療法を続けたくない方には、心房細動の根治療法として当院でも積極的に行っております
「カテーテルアブレーション」治療も選択肢としてあります(アブレーション治療の適応にならない心房細動もございます)。
抗凝固療法、カテーテルアブレーション治療ともにいつでも御相談を承りますので、お気軽に外来にお越し頂けましたら幸いです。
埼玉不整脈ペーシング研究会に参加してきました
2019年6月1日さいたま新都心で開催された埼玉不整脈ペーシング研究会に参加してきました。
今回はたちばな台病院 臨床工学技士の山田君と二人で発表です。
私の発表タイトルは
「LSI 指標アブレーションにおける CF および Power の違いによる Lesion Size の検討 ~体外モデルを用いて~」
山田君の発表タイトルは
「EP-guided PVAI での有効通電部位と Voltage map で仮定した myocardial sleeve における左房肺静脈間電気的交通部位の比較検討 」
それぞれ心房細動アブレーションにおいて当院で注目しているポイントの研究成果の発表です。
対外モデルを用いた実験風景です。みんなで試行錯誤しながら進めていきました。
計14演題の発表があり、毎回3題の優秀演題が選ばれますが、
今回なんと私たちの2演題とも優秀演題に選んでいただきました!
左から秋間先生、山嵜、矢田先生、山田、松本先生
今後も当院では一例一例を大切にし、皆さんにより良い医療をお届けできるようにスタッフ一同精進していきたいと思います。
30回記念! たちばな台健康教室 パート4
前回までに息切れの原因として
❶ 呼吸器疾患
❷ 貧血
❸ 心不全
に関して述べて参りました。
今回は息切れの原因4つ目
「筋力低下」ついてお届けします。
同じ坂道を登るにしても、筋力があれば楽に、息切れせずに登れますよね。
坂道を登ったり、ある程度の速さで歩いたりすると、息が上がったり、足がパンパンに張ってきます。
その様な運動の強度を「乳酸性閾値」と呼びます。
筋力が低下すると、軽い運動でも乳酸が産生されるようになります。
↓
乳酸が産生されると、体が酸性に傾きます。
↓
換気を増やすことにより、酸性を中和しようとします。
↓
換気が増えることで「息切れ」が生じます。
心臓、肺、血液などに異常が見られず、運動時の息切れが生じる方の原因は、筋力の低下かも知れません。
今回の健康教室では、若草台ケアプラザから横浜市で推奨しているトレーニングプログラム
「ハマトレ」をレクチャーして頂くために講師の先生方にお越しいただきました。
皆さん、とても楽しんで一緒にハマトレを行いました。
私も一緒に動きましたが、体が温まり、とてもいい運動になりました。
自宅でもできる非常に楽しい運動ですのでご興味のある方はぜひ行って頂き、息切れの予防にして頂けたらと思います。
「ハマトレ」動画はこちら↓
30回記念! たちばな台健康教室 パート3
「あなたに潜む!息切れの4つの原因」
今回は3回目となります。
酸素を含んだ血液を全身に送り出す臓器、それが
「心臓」です。
心臓の障害が原因で息切れを生じるようになってしまった状態、それを
「心不全」と言います。
心不全とは
心臓が悪いために
息切れやむくみが起こり、
だんだん悪くなり
生命を縮める病気です
心不全は不整脈、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、高血圧性心疾患など、あらゆる心臓疾患の終末像なのです。
現在心不全患者は増加の一途をたどっており、外来患者数は100万人を突破するなど
心不全パンデミックの時代と呼ばれています。
心不全はポンプ機能が低下する「収縮不全」と広がりやすさが低下する「拡張不全」に分類されます。
近年収縮力が保たれた拡張不全を主とする心不全をHFpEFと呼び、このHFpEFは心不全の約半数を占める事がわかってきました。
心筋梗塞などの重大な基礎疾患をもたない方でも、拡張能が低下することで心不全を発症します。
その基礎疾患には高血圧・糖尿病・肥満が多いことが知られています。
また男性に比べて高齢女性でその発症率が高いことが明らかになっています。
心不全の検査で最も力を発揮するのが「心エコー」検査です。
心エコー検査は心臓の収縮力、心肥大の有無、弁膜症の有無、拡張能などたくさんの情報を知ることが出来る非常に重要な検査です。
また、血液検査で心不全を鑑別するのに有用な項目が「BNP」です。
BNPは主に心室で産生され、心臓に圧負荷がかかると上昇します。
息切れがあり、BNPが100pg/mlを超えているようであれば、心不全を疑い心エコー検査など精密検査を行う方が良いでしょう。
30回記念! たちばな台健康教室 パート2
パート1ではCOPDのお話を致しました。
全身の臓器に酸素を運搬する血液に障害が存在する時にも息切れが生じます。
その代表が「貧血」です。
貧血の中で最も頻度が高い疾患が「鉄欠乏性貧血」です。
赤血球中にはヘモグロビンという物質が存在します。
酸素はこのヘモグロビン中の鉄原子と結合し各臓器に運ばれるのです。
ヘモグロビンが減少してしまうと、十分な酸素を全身に運搬することが出来なくなります。
これが鉄欠乏性貧血です。
鉄欠乏性貧血を認めたら、女性はまず婦人科疾患がないかどうかを調べます。
そしてもう一つ重要な疾患は消化管出血です。
胃がんや大腸がんをはじめ消化器系の疾患のためにじわじわと出血が生じている際にも貧血が発症します。
貧血を認めたらまずは
「便潜血」の検査を受けましょう。
貧血の治療は原因疾患があれば、その治療を優先します。
そして鉄分の多いものをぜひ摂取して下さい。
動物性食品では
・豚レバー
・牛肉
・あさり
植物性食品では
・小松菜
・納豆
・ほうれん草
などがおススメです。
食事で十分な鉄分が補充出来ない方には診察の上鉄剤を処方いたします。
お気軽にご相談ください。
息切れがして体がだるいなー、と思う時には一度血液検査を行い貧血があるかどうかを確認しましょう。
30回記念! たちばな台健康教室 パート1
2016年7月21日に第1回たちばな台健康教室を開催し、
なんと今回の2019年5月30日で・・・
第30回を迎えることが出来ました!
ありがとうございます!!
毎月1回の健康教室は準備に心が折れそうになる事も多々ありましたが、
聴講にお越し下さる皆さんの温かい笑顔に毎回励まされ、これまで「息切れ」することなく
続けてくることが出来ました。
という事で、第29回、30回のテーマは
「あなたに潜む! 息切れの4つの原因」
です。
まず呼吸とは
「生物が生命維持に必要なエネルギーを得るために、酸素を取り入れて養分を分解し、その際に生じた二酸化炭素を排出する現象」
と定義することが出来ます。
ここで呼吸に関連する3つの器官を考えてみましょう。
❶ 気道~肺:空気を吸い酸素を取り込む。空気を吐くことで二酸化炭素を排出する。
❷ 血液:肺から酸素を取り込み各臓器に供給。また各臓器から二酸化炭素を取り込み肺に運ぶ。
❸ 心臓:血液を各臓器に送りだすポンプ機能を有する。
これらの器官に障害が存在すれば、正常な呼吸を維持することが出来なくなり息切れが起こります。
息切れを生じる呼吸器疾患の代表として
「COPD」があります。
COPDとは
「タバコを主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患」と定義される通り、
そのほとんどがタバコの煙によって生じます。
タバコの煙に含まれる有害物質が肺の構造を破壊したり、気管支に慢性的な炎症を起こすことにより換気障害を引き起こすのです。
COPDは簡単な検査で診断することが出来ます。
それが呼吸機能検査です。
「吸って吸って吸ってー、ぷーっと吐いて―ーー」の肺活量の検査を思い出してください。
喫煙をしていて最近息苦しいという方、簡単な検査ですので一度測定をしてみましょう。
COPDは早期発見・早期治療が大切です。
さて、治療の最優先はもちろん「禁煙」です。
禁煙しなければいけないことはわかっていてもなかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか?
自力での禁煙成功率は非常に低いことがわかっています。
もし禁煙を少しでも考えていらっしゃる方はお気軽に当院の「禁煙外来」へご相談ください。
皆さんの禁煙の力に少しでもなれればと思います。
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