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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

院長より

埼玉不整脈ペーシング研究会に参加してきました

2019年6月1日さいたま新都心で開催された埼玉不整脈ペーシング研究会に参加してきました。

 

今回はたちばな台病院 臨床工学技士の山田君と二人で発表です。

 

私の発表タイトルは

「LSI 指標アブレーションにおける CF および Power の違いによる Lesion Size の検討  ~体外モデルを用いて~」

 

山田君の発表タイトルは

「EP-guided PVAI での有効通電部位と Voltage map で仮定した myocardial sleeve における左房肺静脈間電気的交通部位の比較検討 」

 

 

 

それぞれ心房細動アブレーションにおいて当院で注目しているポイントの研究成果の発表です。

 

 

 

 

対外モデルを用いた実験風景です。みんなで試行錯誤しながら進めていきました。

 

 

 

計14演題の発表があり、毎回3題の優秀演題が選ばれますが、

今回なんと私たちの2演題とも優秀演題に選んでいただきました!

 

 

左から秋間先生、山嵜、矢田先生、山田、松本先生

 

 

今後も当院では一例一例を大切にし、皆さんにより良い医療をお届けできるようにスタッフ一同精進していきたいと思います。

30回記念! たちばな台健康教室 パート4

前回までに息切れの原因として

❶ 呼吸器疾患

❷ 貧血

❸ 心不全

に関して述べて参りました。

 

 

今回は息切れの原因4つ目

「筋力低下」ついてお届けします。

 

 

同じ坂道を登るにしても、筋力があれば楽に、息切れせずに登れますよね。

 

 

坂道を登ったり、ある程度の速さで歩いたりすると、息が上がったり、足がパンパンに張ってきます。

その様な運動の強度を「乳酸性閾値」と呼びます。

 

 

筋力が低下すると、軽い運動でも乳酸が産生されるようになります。

乳酸が産生されると、体が酸性に傾きます。

換気を増やすことにより、酸性を中和しようとします。

換気が増えることで「息切れ」が生じます。

 

 

心臓、肺、血液などに異常が見られず、運動時の息切れが生じる方の原因は、筋力の低下かも知れません。

 

 

今回の健康教室では、若草台ケアプラザから横浜市で推奨しているトレーニングプログラム

「ハマトレ」をレクチャーして頂くために講師の先生方にお越しいただきました。

 

 

皆さん、とても楽しんで一緒にハマトレを行いました。

私も一緒に動きましたが、体が温まり、とてもいい運動になりました。

 

 

自宅でもできる非常に楽しい運動ですのでご興味のある方はぜひ行って頂き、息切れの予防にして頂けたらと思います。

 

「ハマトレ」動画はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?reload=9&v=zEQjL3MjfHM

30回記念! たちばな台健康教室 パート3

「あなたに潜む!息切れ4つの原因」

今回は3回目となります。

 

 

酸素を含んだ血液を全身に送り出す臓器、それが

「心臓」です。

 

 

心臓の障害が原因で息切れを生じるようになってしまった状態、それを

「心不全」と言います。

 

心不全とは

心臓が悪いために

息切れやむくみが起こり、

だんだん悪くなり

生命を縮める病気です

 

心不全は不整脈、心筋梗塞、弁膜症、心筋症、高血圧性心疾患など、あらゆる心臓疾患の終末像なのです。

 

現在心不全患者は増加の一途をたどっており、外来患者数は100万人を突破するなど

心不全パンデミックの時代と呼ばれています。

 

 

心不全はポンプ機能が低下する「収縮不全」と広がりやすさが低下する「拡張不全」に分類されます。

 

近年収縮力が保たれた拡張不全を主とする心不全をHFpEFと呼び、このHFpEFは心不全の約半数を占める事がわかってきました。

 

心筋梗塞などの重大な基礎疾患をもたない方でも、拡張能が低下することで心不全を発症します。

 

その基礎疾患には高血圧・糖尿病・肥満が多いことが知られています。

また男性に比べて高齢女性でその発症率が高いことが明らかになっています。

 

 

心不全の検査で最も力を発揮するのが「心エコー」検査です。

心エコー検査は心臓の収縮力、心肥大の有無、弁膜症の有無、拡張能などたくさんの情報を知ることが出来る非常に重要な検査です。

 

 

また、血液検査で心不全を鑑別するのに有用な項目が「BNP」です。

BNPは主に心室で産生され、心臓に圧負荷がかかると上昇します。

 

息切れがあり、BNPが100pg/mlを超えているようであれば、心不全を疑い心エコー検査など精密検査を行う方が良いでしょう。

30回記念! たちばな台健康教室 パート2

パート1ではCOPDのお話を致しました。

 

全身の臓器に酸素を運搬する血液に障害が存在する時にも息切れが生じます。

 

その代表が「貧血」です。

 

 

貧血の中で最も頻度が高い疾患が「鉄欠乏性貧血」です。

赤血球中にはヘモグロビンという物質が存在します。

酸素はこのヘモグロビン中の鉄原子と結合し各臓器に運ばれるのです。

 

ヘモグロビンが減少してしまうと、十分な酸素を全身に運搬することが出来なくなります。

これが鉄欠乏性貧血です。

 

鉄欠乏性貧血を認めたら、女性はまず婦人科疾患がないかどうかを調べます。

 

そしてもう一つ重要な疾患は消化管出血です。

胃がんや大腸がんをはじめ消化器系の疾患のためにじわじわと出血が生じている際にも貧血が発症します。

 

貧血を認めたらまずは

「便潜血」の検査を受けましょう。

 

貧血の治療は原因疾患があれば、その治療を優先します。

 

そして鉄分の多いものをぜひ摂取して下さい。

動物性食品では

・豚レバー

・牛肉

・あさり

 

植物性食品では

・小松菜

・納豆

・ほうれん草

などがおススメです。

 

食事で十分な鉄分が補充出来ない方には診察の上鉄剤を処方いたします。

お気軽にご相談ください。

 

息切れがして体がだるいなー、と思う時には一度血液検査を行い貧血があるかどうかを確認しましょう。

30回記念! たちばな台健康教室 パート1

2016年7月21日に第1回たちばな台健康教室を開催し、

 

なんと今回の2019年5月30日で・・・

 

第30回を迎えることが出来ました!

ありがとうございます!!

 

 

毎月1回の健康教室は準備に心が折れそうになる事も多々ありましたが、

聴講にお越し下さる皆さんの温かい笑顔に毎回励まされ、これまで「息切れ」することなく

続けてくることが出来ました。

 

 

という事で、第29回、30回のテーマは

「あなたに潜む! 息切れの4つの原因」

です。

 

 

まず呼吸とは

「生物が生命維持に必要なエネルギーを得るために、酸素を取り入れて養分を分解し、その際に生じた二酸化炭素を排出する現象」

と定義することが出来ます。

 

 

ここで呼吸に関連する3つの器官を考えてみましょう。

 

❶ 気道~肺:空気を吸い酸素を取り込む。空気を吐くことで二酸化炭素を排出する。

❷ 血液:肺から酸素を取り込み各臓器に供給。また各臓器から二酸化炭素を取り込み肺に運ぶ。

❸ 心臓:血液を各臓器に送りだすポンプ機能を有する。

 

これらの器官に障害が存在すれば、正常な呼吸を維持することが出来なくなり息切れが起こります。

 

 

息切れを生じる呼吸器疾患の代表として

「COPD」があります。

 

COPDとは

「タバコを主とする有害物質を長期に吸入暴露することで生じた肺の炎症性疾患」と定義される通り、

そのほとんどがタバコの煙によって生じます。

タバコの煙に含まれる有害物質が肺の構造を破壊したり、気管支に慢性的な炎症を起こすことにより換気障害を引き起こすのです。

 

COPDは簡単な検査で診断することが出来ます。

それが呼吸機能検査です。

「吸って吸って吸ってー、ぷーっと吐いて―ーー」の肺活量の検査を思い出してください。

 

喫煙をしていて最近息苦しいという方、簡単な検査ですので一度測定をしてみましょう。

 

COPDは早期発見・早期治療が大切です。

 

 

さて、治療の最優先はもちろん「禁煙」です。

禁煙しなければいけないことはわかっていてもなかなか踏み切れない方も多いのではないでしょうか?

 

自力での禁煙成功率は非常に低いことがわかっています。

もし禁煙を少しでも考えていらっしゃる方はお気軽に当院の「禁煙外来」へご相談ください。

皆さんの禁煙の力に少しでもなれればと思います。

https://map.sugu-kinen.jp/p/kinenmap/dtl/0000049388/?&his=al1,al2,al3,nm

心房細動と睡眠時無呼吸症候群

5月15日神奈川循環器睡眠障害研究会で

「心房細動と睡眠時無呼吸症候群 

~夜間発作性心房細動に対してCPAPが有効であった一例~

というお話をさせて頂きました。

 

 

 

睡眠時無呼吸症候群は様々な心血管イベントの発生に関与していますが、心房細動との関連も非常に深いことが報告されています。

 

心房細動患者の約50%に睡眠時無呼吸が見られ、重度の睡眠時無呼吸患者では心房細動の発症リスクが約4倍になると言われています。

 

 

 

今回の症例では夜間を中心に終日頻発する上室性期外収縮と夜間に限定した発作性心房細動が認められました。

抗不整脈薬は著効せず、無呼吸の検査を行った所無呼吸低呼吸指数:51回/時と重度の睡眠時無呼吸を認めていました。

 

無呼吸に対してCPAP治療を開始した所、夜間の不整脈だけでなく、日中の期外収縮もほとんど見られなくなりました

 

 

 

睡眠時無呼吸は低酸素や高炭酸ガス血症、そして睡眠の質の低下により夜間の交感神経活動が亢進します。

しかし、夜間だけではなく無呼吸が重度な症例では日中の交感神経活動も亢進することが報告されています。

 

 

今回の症例も無呼吸により生じた交感神経活動が不整脈の発生に関与していたものと考えられ、CPAP治療により夜間だけでなく、日中の不整脈も改善したものと考えられました。

 

 

海外で行われた最近の大規模試験では心血管イベントに対するCPAP治療の有効性に対してnegativeな報告が続いています。

しかし、重要なのは一例一例を深く考察し、有効である症例を見抜く洞察力ではないでしょうか。

そのように対象をしっかりと見極め分類し調査を行えば、CPAPの有効性は必ず示されるだろうと感じています。

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