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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

未来を見据えた糖尿病治療

本日も少し前の講演会のご報告です。

 

9月28日に「循環器からみた糖尿病治療WEBセミナー」におきまして

「未来を見据えた糖尿病治療 ~私たちが選ぶべき治療戦略とは?~」

というテーマでお話をさせて頂きました。

 

 

世界には5億3660万人の成人糖尿病患者が存在すると言われています。これは世界の人口のおよそ10分の1にあたります。

 

日本における糖尿病患者数は1,100万人と推定されており、世界でも9位にランキングされております。

 

また糖尿病関連死は24万5,010人と推定されており、この事からも日本の医療にとって糖尿病は非常に重要な疾患であることがお分かりいただけるかと思います。

 

 

 

糖尿病患者では非糖尿病に比べ平均寿命が短いことが報告されています。

全死亡、心疾患による死亡、そして虚血性心疾患による死亡も、性別・年齢を問わず高率になっています。

 

 

では糖尿病においてはじめて出現する心血管腎イベントは何か?

 

心腎血管疾患を有さない2型糖尿病患者772,336例を平均4.5年間追跡したデータがこちらになります。

 

 

糖尿病というと虚血性心疾患との関連が容易に思い浮かびますが、意外にも初発のイベントは圧倒的にCKDと心不全が多数であることが明らかとなりました。

 

心血管腎イベントを有さない糖尿病患者に比べて、心不全とCKDを合併する糖尿病患者における全死亡のハザード比は3.14と非常に高値であり、心不全とCKDが合併した糖尿病は予後が非常に不良であることも報告されています。

 

 

心・腎・糖尿病という3つの病態はそれぞれの病態の増悪因子となっており、深い関係を有する事から、近年「心腎代謝連関」という概念が用いられるようになりました。

 

 

 

これからの糖尿病治療においては、いかに心不全とCKDの発症を抑えることが出来るかという点が非常に重要であり、米国糖尿病学会のガイドラインもこの点を考慮した治療アルゴリズムを示しています。

 

 

 

各薬剤についての詳細はまたの機会に是非綴らせて頂きたいと思いますが、新たな治療薬の登場により糖尿病治療が大きく変わったことは間違いありません。

ただし、新しい治療薬が万能なわけでもありません。

多くの薬剤の特徴を理解し、患者様個々の病態に適した治療 つまりpatient oriented approachを行う事。この事を忘れずにこれからも日々の診療を行っていきたいと思います。

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