2023年05月
新型コロナウイルス感染症 5類へ
院長の山嵜です。
半袖の季節になったかなと思ったら、暴風雨、そして北陸・千葉に地震発生。
気候変動や自然災害が年々増加していることを実感します。
新型コロナウイルス感染症もまさに未曽有の大災害でしょう。
この5月8日から新型コロナウイルス感染症が5類感染症扱いに変更となりました。
GWも含め、ようやくコロナ禍以前の社会生活が戻ってきたことは本当に喜ばしいことと思います。
特にお子様や学生の皆さんは何が普通の生活かわからなくなるような日々を過ごされた3年間だったでしょう。
2020年の2月にダイヤモンドプリンセス号に乗り込み客室を一つずつ訪室し、一人一人に体調をヒアリングして回った思い出がはるか昔に感じます(半数以上が外国籍の方で皆さん非常に不安な面持ちでした)。
まだ詳細不明なウイルス感染症という事もあり、出動後2週間ほどは少しでものどがいがいがしたり咳が出たりすれば、感染したのではないかという不安にさいなまれ、生きた心地がしませんでした。
5類に変わったその日から感染力が低下するわけでも、重症リスクの高い方への危険性が少なくなるわけではありません。
5月8日以降も連日感染症状の方からの問い合わせは多く、抗原やPCR検査の結果が陽性の患者様も変わらずいらっしゃいます。
ただし多くのデータが集積され、どのような感染対策を行えば感染のリスクを減らすことが出来るのかが明瞭になりました。医療従事者の行うべき感染対策も洗練されてきたと言えるかもしれません。
当院におきましては院内では当面ユニバーサルマスクを皆様にお願いし、また風邪・感染症状の患者様は可能な限り時間的・空間的にその他の患者様と分けて診療を続けさせて頂きたいと思います。
第6回のワクチン接種もこの5月から重症化リスクの高い方を対象に開始されました。接種を悩まれている方もいらっしゃるかと思います。
感染症、ワクチン接種を含め何か不安なことがございましたらいつでもお気軽にご相談いただければと思います。
日本循環器学会学術集会に参加してきました。
第87回日本循環器学会学術集会が福岡で開催されました。
久しぶりの現地開催で約15,000人の医療従事者が参加するという大きな学会となりました。
今回は高血圧のセッションにおきまして
「Efficacy of Sacubitril/Valsartan in Patients with Poorly Controlled Hypertension」
という演題で発表をさせて頂きました。
現地開催という事でたくさんの先生方と顔をあわせてのディスカッションをすることが出来、大変有意義な学会となりました。
学んだ最新の知識を日々の診療でしっかりと生かしより良い治療が行えるよう、今後も精進していきたいと思います。
ARNI 全国WEB講演会でお話をさせて頂きました
1月26日にARNIランチタイムセミナー ~厳格降圧で帰る日本の未来~で講演をさせて頂きました。
テーマは「日本人高血圧を考える ~エンレストがもたらす新たな高血圧治療戦略~」
高血圧は最大の心血管疾患リスク因子である。
2019年に日本高血圧ガイドラインが改訂され75歳未満の診察室血圧は130/80mmHg未満が推奨されております。
しかし降圧治療を行っているにもかかわらずこの目標値を達成できていない方は約7割とも推察されています。
その原因となるのは?
それを改善するための治療戦略は?
などについてお話をさせて頂きました。
2月14日まではオンデマンドで配信しておりますので、是非ご覧いただければと思います。
https://quick-watch.jp/minerva/web_ondemand/O00847.html
元石川小学校防災訓練
院長の山嵜です。
昨日3年ぶりにトリアージ訓練を含んだ防災訓練が元石川小学校で開催されました。
青葉区には41の防災拠点が存在します。
うち12ヶ所には定点診療拠点という医療従事者が出動し傷病者のトリアージや診療を行う医療拠点が併設されます。
今回も自治会の皆様を中心に、青葉区医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会、Yナース、アマチュア無線協力会などたくさんの皆様にご参加を頂き久しぶりに本格的な防災訓練となりました。
・開催前に図書室でミーティング
・山本医師会長から説明
・自治会の方に傷病者役を演じてもらってのトリアージ訓練
・青葉区役所医療調整班とのMCA無線訓練
やはり現場での訓練でなければ気付くことのできなかった問題点も多数見つかり、最後の反省会では非常に多くの意見が飛び交ったことからも、今回の防災訓練が非常に大きな意味があったことをうかがうことが出来ました。
本訓練を皮切りに、本当の震災が起こる前に他の11拠点でも有意義な防災訓練を行うことが出来ればと考えております。
お近くの拠点で行われる際には是非ご協力をお願い申し上げます。
Yokohama Brain Conference
院長の山嵜です。
最強寒波の極寒の中皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は12月15日脳神経外科の先生を対象に開催されましたYokohama Brain Conferenceについてお話をさせて頂きたいと思います。
こちらの会では大変お世話になっております横濱もえぎ野クリニックの泉山先生にお声掛けを頂き
「高血圧診療Update ~ARNIがもたらす新たな高血圧治療戦略~」
というテーマで講演をさせて頂きました。
「高血圧は脳卒中および心血管イベントの最大のリスク因子である。」
これがkey wordになります。
下の図は日本においてどのようなリスク因子が脳心血管死に関与しているのかを表したグラフになりますが、圧倒的に高血圧の関与が強く、高血圧関連脳心血管死は年間約10万人におよぶと考えられております。
ではどの程度に血圧をコントロールすれば脳卒中イベントは減少するのか?
高齢であれば血圧は高くても良いのではと考えられていた時代もございましたが、現在は75歳未満の方や高度狭窄を有さない脳血管疾患の方、冠動脈疾患の既往のある方、糖尿病の方、蛋白尿を有する慢性腎臓病の方では診察室血圧を120台にコントロールする事が高血圧ガイドライン2019でも推奨されております。
下は血圧を130を目標に治療をした方と、140を目標に治療を行った方の脳卒中イベントを評価したメタ解析になりますが、130を目標に厳格に高血圧の治療を行った群で22%脳卒中の発症リスクが低下する事が示されております。
血圧には日内変動があり、早朝高血圧が心血管イベントのリスク因子であることが知られています。
脳卒中発症にも日内変動があり、下記の2つの試験結果からも脳卒中の発症は朝から午前中にかけて多いことが報告されております。
早朝高血圧は2つのタイプに分類されます。
① Surge type:朝方急激に血圧が上昇するタイプ
② Nocturnal hypertension type:夜間の血圧が高く、そのまま朝まで高いタイプ
高血圧の治療目標の一つは朝の血圧をいかにコントロールするかがポイントです。
・塩分摂取が多くないか?
・睡眠時無呼吸症候群が存在しないか?
・糖尿病、慢性腎臓病、心不全などが存在しないか?
・アルコール摂取が過剰でないか?
・不眠症がないか?
・起床後すぐに喫煙をしていないか?
・寒い部屋で眠っていないか?
などなど要因を挙げ始めればきりがありません。
高血圧の治療は降圧薬をパッと処方するだけではなく、このような要因の存在や背景にある生活習慣を考え、きめ細やかに投薬調整を行うことが重要となります。
血圧治療で何か不安なことがございましたらいつでもお気軽にご相談ください。お待ちしております。