2021年05月
青葉区循環器研修会 SGLT2阻害薬の可能性~未来を見据えた糖尿病治療~
3月19日青葉区循環器研修会で、昭和大学藤が丘病院 循環器内科 教授 江波戸先生とともに講演をさせて頂きました。
今回は未来を見据えた糖尿病治療というタイトルでの講演です。
生活様式の西洋化から、年々我が国における糖尿病患者は増加しています。
日本人は元来欧米人に比べて内臓脂肪がつきやすいと言うことが報告されています。
内臓脂肪は炎症性のサイトカインを産生し、様々な臓器障害を惹起します。
最近は内臓脂肪の中でも循環器疾患と関連の深い心外膜脂肪が注目されるようになってきました。
心外膜脂肪が増加したり異常状態は、虚血性心疾患や心房細動そして心不全の発症メカニズムに関与すると考えられています。
腎臓での糖の再吸収を抑制するSGLT2阻害薬はこの心外膜脂肪を減少させることがいくつか報告されています。心外膜脂肪を減少させることは、将来の循環器疾患の発生予防につながることがが期待されます。
まだまだエビデンスとしては不足しているかもしれませんが、患者様一人一人の病態をみつめ、未来を見据えた糖尿病治療を行っていきたいと思います。
青葉区・緑区・都筑区 慢性心不全セミナー
3月5日青葉区・緑区・都筑区合同で開催されました慢性心不全セミナーにパネリストとして参加いたしました。
慢性心不全は年々増加しており、今後も社会の高齢化に伴いさらにその罹病率は増えてくることが予想されます。
慢性心不全は様々な心疾患を背景とした心臓病の最終病態・症候群と考えることが出来ます。
今回の慢性心不全セミナーでは新たに登場した心不全治療薬である「イバブラジン」をテーマにプレゼンテーションをさせて頂きました。
イバブラジンは心筋細胞の内向きNa電流Ifをブロックすることで、心筋の収縮力を障害することなく心拍数を徐拍化する薬剤です。
これまでは心機能の低下した心不全に対するClass1の薬剤で心拍数に直接働きかけるものはβ遮断薬しかありませんでした。
もちろんβ遮断薬は心不全にとって欠かすことのできない最重要の薬剤の一つですが、血圧低下や心不全の増悪、倦怠感などを理由に忍容性が得られないこともありました。
イバブラジンはβ遮断薬で心拍数コントロールが得られない患者にとっては非常に有効な薬剤と考えられます。
最近ではイバブラジン以外にも心不全に対する薬剤がたくさん登場してきており、慢性心不全治療は新たなステージに突入していると考えられます。
患者様の病態のサインを見逃さず、適した治療を選択する。
これからの心不全治療にはこれまで以上に幅の広い、専門的な知識が求められていると言えるかもしれません。
神奈川区医師会学術講演会にお招きいただきました。
2月19日神奈川区医師会学術講演会に講師としてお招きいただきました。
今回は心拍数の臨床的意義についてお話をさせて頂きました。
みなさんも哺乳類の一生の心拍数は決まっていて、普段の心拍数の速い哺乳類は短命であるというお話を聞いたことがあるかもしれません。
上図の左のグラフは様々な哺乳類の1分間の心拍数と平均寿命を示しています。
1分間に心拍数は600回もあるマウスの寿命は約2年半と非常に短く、心拍数20回前後のクジラの寿命は非常に長くなっています。
右のグラフは各哺乳類の生涯総心拍数で、ほとんどの哺乳類では生涯総心拍数は7から8億回と統一されていることがわかります。つまり心拍数が速いことは短命のリスクがあるということにつながるかもしれません。
この関係は人間にも当てはまるという報告がいくつもあります。
こちらはドイツで40-80歳の健常者を対象に行われた調査における心拍数と死亡率の関係を示したグラフです。
横軸が心拍数、縦軸が死亡率ですが、心拍数が速くなるにつれて死亡率は上昇しています。
心拍数が20上昇すると死亡率のHRは男性で1.7,女性で1.4と増加することが明らかとなりました。
心拍数が速い背景には交感神経活動の亢進が関与している可能性があります。
メタボリックシンドロームは複数の動脈硬化リスク因子を有する病態ですが、メタボリックシンドロームでは交感神経活動が亢進し、心拍数が速いことが知られています。
臨床現場でもなぜ心拍数が速めなのか?その背景に動脈硬化のリスク因子が存在していないか?
そのような目でしっかりと患者様一人一人を見ていくことが臨床医として重要と考えています。
web講演会 糖尿病の視点から合併症予防を見据えた糖尿病治療
本日は糖尿病のweb講演会で座長をつとめさせていただきました。
群馬大学循環器内科の倉林教授をお招きして「心血管合併症のメカニズムとエビデンスに学ぶ糖尿病の治療戦略」というテーマでご講演をいただきました。
最近では多くの糖尿病治療薬が発売され、糖尿病治療における選択肢が非常に増えています。
本日のご講演では糖尿病に合併する心不全のメカニズム、腎臓の近位尿細管にあるSGLT2に働きかけ尿中に糖を排泄する作用を有するSGLT2阻害薬の作用機序やエビデンスを中心にお話を頂きました。
群馬大学での研究結果も含めた非常に興味深い内容で、もっとお話をお聞きしたかったです。
最後は模擬症例に対してどのような追加治療を検討するかをディスカッション形式でお話させて頂きました。
私たちが糖尿病治療を行う上で、患者様一人一人の異なる病態を考え、また長期的な予後も含めて治療の選択をしなければならないことを再認識する非常にいい機会となりました。
青葉区医師会から表彰して頂きました
院長の山嵜です。
昨年2月にダイヤモンドプリンセス号に乗船し医療支援活動を行ったことに対して、青葉区医師会から表彰して頂きました。
あの時はウイルスや感染に関する詳細な情報のない中での船内活動でありましたので、活動後は自身の感染に怯えた2週間を過ごしました。
活動を後押ししてくれたスタッフと家族には感謝しかありません。また、ともに乗船しその後もたくさんのご指導を頂いた医師会の先生方にも心から感謝申し上げます。
下の写真は記念品として頂きましたリヤドロの「優秀なドクター」という陶器の像です。
落ち着いた思慮深い医師の像ですが、まだまだその領域に達するには長い時間がかかりそうです。
緊急事態宣言を機に新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向ではありますが、油断すればいつまた鎌首を持ち上げるかわかりません。
これからいよいよワクチン接種が開始されます。
その有効性、安全性、またどのような接種体制になるか多くの懸案材料があるかと思いますが、可能な限り皆さんにも情報の発信をしていきたいと思います。
それではこれからも頂いた像に恥ずかしくない医師になれるよう日々精進していきたいと思います。
明けましておめでとうございます
院長の山嵜です。
昨年はコロナをはじめ皆さん本当に辛抱の一年間だったことと存じます。
本日は走り初めとして氏神様でもあります「琴平神社」までお参りに行ってまいりました。
御覧の通り参拝の方で大変混雑しておりましたので、今日はひとまず鳥居の前からお参りをさせて頂きました。
是非後日改めて参拝に訪れたいと思います。
今年が皆様にとっても平和で安心して暮らせる年になりますように。
私たちも皆様の安心に少しでもお役に立てるようスタッフ一同日々精進してまいりますので、気になることがございましたら是非お気軽にご相談ください。
それでは皆様今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。