2018年07月
痛みのないアブレーション治療を
毎日暑い日が続いておりますが、皆様体調管理はいかがですか?
先日国際フォーラムで行われた不整脈心電学会に参加して参りました。
その中で「不整脈治療中の鎮静・鎮痛について」のセッションを聴講してきました。
当院のカテーテル治療でも可能な限りの無痛治療を心がけております(不整脈によっては覚醒していないと治療できないものもあります)。
カテーテルは太ももの付け根などを針で穿刺し挿入しますが、この時点から疼痛が無いように鎮痛剤と鎮静剤を併用し治療を行っております。
鎮静剤はうまく調節しなければ呼吸抑制など危険な合併症を生じることがあります。そのため治療中は看護師がぴったりと付き添って、酸素飽和度や血圧などのモニターをしっかりとチェックしております。
これからも皆様に安全に、そして侵襲の少ない治療を提供していきたいと思います。
埼玉不整脈ペーシング研究会に参加してきました。
山嵜です。
昨日は第52回埼玉不整脈ペーシング研究会に参加してきました。
今回はセッション1
「Holter心電図によるT波オルタナンスの評価」
「房室ブロックを伴う心サルコドーシス」
「徐脈性心房細動に対する両室ペーシング」
「His束ペーシングの有効性」(※演題名は略しております)
以上 4 演題の座長を務めさせて頂きました。
どの演題も非常に白熱した議論がなされ、おかげさまで非常に盛り上がったセッションになりました。
また座長のお勤めを何とか無事に果たした後は、「心房細動アブレーションについて」の発表もさせて頂きました。
皆さんより貴重な御意見もたくさん頂き、大変勉強になりました。
ちなみに光栄なことに会の最後では「優秀演題賞」に選んで頂きました。
自分の発表を評価していただけることは非常に嬉しく、努力が報われた気持ちになりました。
本当にありがとうございました。
これからも日々研鑽を重ね、皆さんにより良い医療が提供できるようチーム一同頑張っていきたいと思いますので今後ともよろしくお願い致します。
新年度のご挨拶
少しご無沙汰しておりました、院長の山嵜です。
4月からいよいよ新年度に入りました。
皆さまの中にも新たな目標を掲げて、スタートされた方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
当院でも今年度の目標を掲げてみました。
《平成30年度 たちばな台クリニック目標》
・患者様に満足し、信頼していただける医療を提供すること
・みんなが笑顔で明るいクリニックを
いつも通りの目標ですが、やはり一番大事なことですね。
また、外来業務に力を注ぐため、これまで長年皆さんにご利用いただいておりました18床の病床は今年度より閉鎖する運びとなりました。
たくさんの患者様やご家族の皆さまとの思い出は忘れることが出来ませんが、これからその分外来にお越しいただいた患者様に力を注ぐことが出来るようスタッフ一同邁進していきたいと思います。
それでは皆さま、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
心房細動と認知症
2月13日(火) 青葉台フォーラムで「Advancing Anticoagulation Care Conference」という研究会が開催されました。
今回は認知症を御専門とされる横浜総合病院の長田先生の御講演の座長を務めさせて頂きました。
「心房細動と認知症 ~高齢者社会における脳梗塞・認知症予防戦略~」というテーマでの御講演です。
皆さんも良くご存知のアルツハイマー病の患者様では脳にアミロイドβというたんぱく質が蓄積していることが知られています。このアミロイドβ蓄積がアルツハイマー病の原因なのか、それとも様々な代謝の結果なのかは議論の分かれるところですが、認知症を全く認めない健常者にもアミロイドβの蓄積が見られることがあるとのことでした。
【アミロイドPET】 左:健常者 右:アルツハイマー病(赤い部分にアミロイド沈着)
それでは同じアミロイドβが蓄積している人でも認知症を発症する人しない人でどのような違いがあるのでしょうか。
その引き金になる原因として生活習慣病(脳心血管疾患の原因)や心房細動の存在が知られています。
(心房細動に関して詳しく知りたい方はこちら↓)
https://tachibanadai-hp.com/clinical/atrial/
生活習慣病に関しては健診で定期的に自分の状態を知り、健康的な食事や定期的な運動に努めることが大切ですね。もちろん発症してしまったらしっかり薬物治療を行いましょう。
また心房細動で問題となるのが、心臓に血栓ができ、その血栓がポーンと血液の流れに乗って頭に飛んでしまい大きな脳梗塞を作ることです。
これを予防する治療が血液をサラサラにする治療「抗凝固療法」です。抗凝固療法をしっかりと行っている患者様では行っていない患者様に比べて認知症の発症が少ないことも報告されています。(European Heart Journal, Volume 39, Issue 6, 7 February 2018, Pages 453–460)
心臓と認知症、一見離れているように見えますが、人間の身体は各臓器が複雑に絡み合い関係のないところはないようです。
まずは健康的な生活を。もし生活習慣病や心房細動での御相談がございましたらいつでもお気軽に御相談ください。
脂肪酸フォーラム in 横浜
2月5日(月)横浜で行われました脂肪酸フォーラムに参加してきました。
岐阜大学から循環器内科 教授 西垣先生をお招きしての研究会です。
私は研究会のopening remarksを務めさせて頂きました。
今回は皆さんも良くご存知のω-3系脂肪酸 EPA(エイコサペンタエン酸)がテーマです。
EPAは主に青魚に多く含まれる脂肪酸で中性脂肪を低下させる効果が良く知られています。
しかしEPAは中性脂肪を低下させるだけでなく、血管の炎症を抑制することで、動脈硬化を予防するという素晴らしい効果を持っているのです。
EPAを用いた有名な日本の臨床試験が「JELIS試験」です。
コレステロールが高い患者さんには通常スタチンというお薬が使用されますが、スタチンを飲んでいる患者さんにさらにEPAを投与したところ心臓の病気の発症率がどうなるかという事を検討した試験です。
結果は下にお示ししますようにEPAを飲んでいると5年間で19%も心筋梗塞や狭心症の発症率が減少しました。
さらに中性脂肪が高く、善玉コレステロールであるHDLコレステロールが低い患者さんでは、EPA投与によりなんと53%も心血管イベントが減少したのです。
このように有効性が示されているEPAですから巷にはサプリメントがたくさんあふれています。
しかしこのようなサプリメントの中にはEPAの純度が低いものや、高価なものもたくさんあります。
まずは青魚などの摂取を。そしてEPAを摂取する際には純度・安全性の高いものを摂取するようにしてくださいね。
EPAだけでなく脂肪酸につきまして、わからないことがありましたらいつでもお気軽にご質問やご相談下さい。
感染対策研修会に参加してきました
毎日寒い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日青葉区医師会館におきまして院内感染対策研修会が開催され、当院から3人が参加いたしました。
今回は『クリニックにおける感染対策の基本』というテーマで、藤が丘病院 感染管理認定看護師の 川野先生からの講義を拝聴いたしました。
はじめに標準予防策(スタンダードプリコーション)、
つまり「手指衛生、個人防護具、針刺し防止、咳エチケット」など感染対策の基本についてお話がありました。
その後は職業感染防止策として針刺し事故・血液暴露に対する対応、また日本ではまだまだ問題として残っている結核感染予防についてのお話を聞かせて頂きました。
当院でも毎月一度多職種が集まり感染対策委員会を開催しております。今回の講義を参考に当院の感染対策に対する意識をさらに向上できればと考えております。
さて皆さんは「衛生的手洗い」という言葉をご存知ですか?
これは医療現場で私たちが日々行っている手洗いの方法です。
❶手のひら ➡ ❷手の甲 ➡ ❸指の間 ➡ ❹親指 ➡❺爪 ➡ ❻手首
の順序で洗い残しの無いように洗っていきます。
12月に入り、インフルエンザや胃腸炎など感染症が気になる季節になりました。
皆様もぜひ「衛生的手洗い」を行って感染予防につとめてください。