2018年11月
健康教室レポート「ロコモを予防しよう ロコモティブシンドロームとは?」
平成30年10月の健康教室のテーマは、
「ロコも予防をはじめましょう ロコモティブシンドロームとは?」
です。
運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態を
「ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)」といいます。
進行すると介護が必要になるリスクが高くなりますので、日常生活に密着した病気と言えるでしょう。
ロコモは筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。進行すると日常生活にも支障が生じてきます。
人は骨や関節、脊髄、筋肉、神経などによって身体を支えたり、動いたりしています。
こうした器官を総称して運動器といいます。誰しも高齢になれば運動器の機能が低下していくものですが、現代のような高齢社会では、それが要介護などのリスクにつながる大きな要因となってしまいます。そこで、一人ひとりが日頃から自身の運動器の状態を認識し、チェックや早めの対策を行うことで長く健康な身体を維持できるよう発信されたキーワードがロコモなのです。
内臓面から健康を考えるメタボ(メタボリックシンドローム)という言葉はみなさんご存知ですね。ロコモはその運動器バージョン、そう考えればわかりやすいかも知れません。
こんな状態は要注意!チェックしよう 7つのロコモチェック
① □ 片脚立ちで靴下がはけない
② □ 家の中でつまずいたり、すべったりする
③ □ 階段を上がるのに手すりが必要である
④ □ 家のやや重い仕事が困難である
⑤ □ 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
⑥ □ 15分くらい続けて歩くことができない
⑦ □ 横断歩道を青信号で渡りきれない
ロコモは、既に国民病とも言える疾患です。ロコモを引き起こす運動器障害には、2つに分類されます。
1つ目は運動器自体の疾患です。
高齢化の進展と共に運動器の障害も増加しています。運動器障害は痛みを引き起こす要因にもなり、関節痛を主訴とする症例では、主に変形性膝関節症があり、これは関節と関節の間の軟骨がすり減り痛みを伴う疾患です。また、骨が弱くなり骨折しやすくなる骨粗しょう症も代表的な疾患です。最近の調査によれば、変形性膝関節症の患者数は2400万人。骨粗しょう症を含めると4700万人とも言われ、運動器疾患の予防は今後ますます重要になってきます。
2つ目は、加齢による機能不全です。筋力低下などが上げられますが、ロコモ中でもすごく筋力低下している状態をサルコペニア(サルコ=筋力、ペニア=低下)と言います。これは、加齢により筋肉量が低下し、筋力低下や身体機能の低下が起こる事です。
サルコペニアを予防するポイントは、「栄養」と「運動」です。
まず、「栄養」では、低栄養に気を付けなければなりません。低栄養とは、体を維持する栄養が足りない状態です。
元気がない・著しくやせている(るい痩)・意図しない体重減少がある場合は、要注意です。低栄養にならないようにするためには、やはりしっかり食べることです。足りない栄養を補うために栄養補助食品を取り入れる事もあります。ご要望があれば、当院の管理栄養士がご相談をお受けしますのでお気軽にお声かけ下さい。
2つ目の「運動」ですが、ロコモサポートドクターの山嵜先生からは、生活のちょっとした合間に出来るスクワットと片脚立ちをご提案させて頂きました。
そして今回は、スペシャルゲストとして鴨志田地域ケアプラザと青葉区役所より3名お招きして、『ハマトレ』をご指導い頂きました。
『ハマトレ』とはロコモを予防するため、横浜市が高齢者の「歩き」に着目して開発したトレーニングです。 高齢者の姿勢や歩き方の特徴から、猫背・姿勢改善、傾きの改善、股関節の伸展、足関節の動き、バランス力の向上の「歩く」に関わる5つの要素を取り入れた20種類の運動からできています。 ストレッチやウォーキングなどとあわせて行うと効果的です。ハマトレの動画をご覧になりたい方は、横浜市のホームページを検索して下さい。また、お住まいの区役所、地域包括支援センターでDVDの貸し出しもしているようです。
いつまでも元気で笑顔でいられるように「ロコモチェック」と「ロコモ予防」をぜひ続けましょう。
第8回たちばな台BLS(心肺蘇生講習会)
こんにちは総師長の箱田です。 少し前のことになりますが、第8回BLS(心肺蘇生講習)を開催致しました。
当院で行うBLS講習会は日本救急医学会認定コースとなります。 認定コースでは一定の水準に満たした技術、知識を得られた受講者に対して認定書を与え認定者として活動が行える事となります。
(講習時間 4時間 実技 筆記テスト 修了式を含む)
今回は、たちばな台病院、クリニックに連携する外部施設の方々4名にもお越し頂き、当院から看護師、検査技師、臨床工学士の職種の方に参加していただき総勢12名となりました。
今回はCC:コースコーディネター赤津さんを中心に、新人インストラクター福永、石塚さんがメインで指導を行って頂きました。
受講者の皆さん、はじめはとても緊張していましたが、インストラクターのコーチングに
合わせて楽しくBLSを学んでいる様子が印象的でした。 外部から参加して頂いた皆さんも適度な緊張の中で楽しんで頂けた様子でなによりです。
赤津さんより一言
TLS看護師:赤津です。 今回、初めてBLSコースを担当させて頂きました。 上手くできたのか未だ心残りな部分もありますが、チームのサポートを頂いて全ての受講者が無事に合格する事ができました。 コースを円滑に進行できるようにコーディネートする事の難しさを知る貴重な経験となりました。 まだまだ勉強不足な事もありますが、チームの一員としてがんばっていきたいと思います。
BLSコースを開催して2年となります。当初は指導者の全てが男性のため心細やかな事が不足しておりましたが、近日は女性指導者・事務が加わった事で休憩やアメニティが充実してきました。 指導者希望のスタッフも増える事でコース内容と指導管理を含めより良い組織運営を心掛けていきます。
今後も他施設の方々にも楽しんで頂けるコース運営を行って行きたいと思いますので宜しくお願いします。
TLS(Tachibanadai Life Support Team)発足
一成会 たちばな台にて日本救急医学会 ICLS:BLS認定コースの運営を行う職員の総称としてTLSチームを構成致しました。 2018、JULY
昭和大学藤が丘病院防災訓練に参加してきました
院長の山嵜です。
今年の夏は異常な暑さでした。
ようやく涼しく過ごしやすい季節になって参りましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?
先月は防災の日がある9月という事もあり健康教室では「災害時、いざという時どうしますか
?」というテーマでお話をさせて頂きました。
私は青葉区医師会で災害時検討委員会の担当を務めさせて頂いております。
毎月青葉区に震災が発生した時どのような対応を取っていくべきか、様々な議題に対して多職種で会議を開いております。
医師会、薬剤師会、歯科医師会、柔道整復師会、行政、看護師、メディア、無線連絡会、日体大から代表者が参加しての会議です。
災害に対してここまで多職種での連携が取れているのは横浜市でも青葉区だけだと思います。
災害発生時のシミュレーション訓練と言えば「防災訓練」ですね。
皆様の自治体でも定期的に防災訓練が開催されていることと思います。
今回10月21日に昭和大学藤が丘病院で大規模な防災訓練が開催されました。
震度6強の直下型地震を想定しての訓練です。
病院に訪れた被災者を重症度により選別治療する「トリアージ」訓練、また院内の患者様を移動させる移送訓練、区役所内に立ち上げた医療調整本部との無線通信訓練など、多くの訓練を同時進行致しました。
病院は院内スタッフの参加者がとても多く、マンパワーにあふれており非常に感動致しました。
また、医師会から参加された先生方もトリアージや診療に携わり素晴らしい地域連携を見ることが出来ました。
東日本大震災が発生した時に、石巻赤十字病院が素晴らしい対応が出来たのも、偶然か発災前日に防災訓練が開催されていたとの話を聞いたことがあります。
いつ起こるかわからない災害に対して、全員が十分な想像力を働かせ準備をする、簡単なようで非常に難しい事だと思います。
たちばな台病院も災害時協力病院に指定されており、災害時には被災者の方の受け入れを行います。
私たちも災害時に地域の皆様の力になれるよう、病院をあげて災害時に取り組む姿勢をもう一度確認する必要があると改めて感じた防災訓練でした。
健康教室レポート『災害時、いざという時どうしますか?』~知って欲しい日常の備えと災害時の行動~
講師の山嵜院長は、災害時地域医療対策委員会の理事として青葉区で災害が起きた際にどのように対応したよいか毎月対策をたてています。
今年は、平成30年7月豪雨、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震など、いつ身の回りに災害が起こるか、起きたらどうするか改めて考えさせられます。
平成30年7月豪雨で被害のあった岡山県倉敷市真備町では防災のためのインフラ整備が今まさに行われる矢先の災害でした。防災整備にはお金や時間がかかるため、まず自分自身で出来ること考える必要があります。青葉区では、災害の被害予測を地図にしたハザードマップが作成されています。これを用いて自分の住居や勤務先の被害予測を事前に知っておく事が重要です。
私たちの暮らしている横浜市は今後、南海トラフ地震や首都直下型地震に備える必要があります。青葉区の被害想定は死者や負傷者の数は少ないと予測されていますが、停電、断水、インフラが機能しなくなるなど、家で生活する事が困難になり相当の数の被災者が発生し避難を余儀なくされる可能性が高くなると予測されます。
それでは大地震が発生したらどうするか?
在宅中に緊急地震速報が鳴ったら・・・
- 揺れに備えて頭を守り、大きな家具から離れる。丈夫なテーブルの下などに隠れる。慌てて外に出ると危険です。
- 火を消して、戸を開ける。停電が復旧した時に暖房器具などの家電の電源が入り火災を起こしやすくなるのでブレーカーを落とすと良いでしょう。
どんなときに避難が必要か?
生活が不便に感じたら避難所に向かうと良いでしょう。しかし、自分の避難所を知らないと困るので事前にハザードマップ等で調べましょう。
避難所にはいろいろな備蓄品が備えてあり、その他に地域定点診療拠点が設置され医療関係者が治療やトリアージを行います。
トリアージとは?
大事故や災害などで多数の患者発生したときに緊急度に従って治療の優先順位を付けることです。限られた人的、物的医療資源を最大限有効に活用し、なるべく多くの患者の生命を助けます。
地域定点診療拠点で行われる事
- 医師等が負傷者のトリアージを行う。
- 医師等が軽症者の診療を行う。
- 重症者・中等症者を拠点の運営委員等(各自治体の皆さんの力が必要)が病院へ搬送する。
- 医療チームが他の防災拠点に巡回診療を行う。
避難所に何を持って行きますか? 最低限の持ち物
- 現金:1,000円札、100円、10円(お釣りが不足するため小銭が便利)
- 水:500mlペットボトル数本
- 非常食:缶詰、ビスケット、飴など
- ティッシュ、ウエットティッシュ、タオル
- 懐中電灯、ラジオ
- カイロ、防寒具
- 携帯電話の充電器、予備バッテリー
- 身分証(運転免許証・保険証・パスポート等)
- 眼鏡
- 薬(1週間ぐらい予備があると良い)
薬がなくなったら…
従来薬局では、処方箋無しでは医薬品の販売は禁止されています。しかし、災害時に限り医師の診療や処方箋の交付が困難な場合には、後日医師から処方箋を書いてもらうことを条件に慢性疾患治療薬に限り処方箋無しで調剤することができます。
しかし、かかりつけ医が停電など被災している場合や別の診療所に受診した場合、薬の内容がわかりません。薬を証明するにはお薬手帳を携帯することが大事です。
災害は突然おそってきます。今から十分な準備を行ってください。
終末期の栄養管理
管理栄養士南です。
先日、神奈川県栄養士会の臨床栄養セミナーに参加してきました!
当院には3月まで入院施設がございましたが、その中で終末期医療に携わらせていただく事も多くありました。
在宅医療に携わりたいと数年前より熱望しておりますが退院後も継続した支援がしていきたいと思った事がきっかけで、現在は入院施設はありませんが外来から在宅への移行にシームレスな支援ができたら…と考えています。
ということで終末期の栄養管理学んできました。
午前中は薬剤師豊田義貞先生からの講義でした。
そもそも、終末期の定義は?
という事も実は曖昧ですが、老年医学会から
病状が不可逆的かつ進行性で、その時代に可能な限りの治療によっても病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり、近い将来の死が不可避となった状態とされています。
個人により終末期の経過は極めて多様な事から具体的な期間の設定はありません。
人生の最期の時間をどの様に過ごすのか、早いうちから考えていく事が大切ですね。
さて、終末期における苦痛には
痛み
倦怠感
呼吸困難
が上位にあがります。
その苦痛を緩和する為に薬物療法が行われますが、必発する食の副作用のケアに管理栄養士としてどう関わっていくのかをエビデンスはもちろん、センスが必要だと感じました。
普段見なかった事にしてしまいがちな痛み止めや向精神薬の詳細を分かりやすくお話しいただいたので、早速外来で活用していこうと思います。
便秘、食欲不振、嘔吐、下痢
引き出しが増えたような気がします!
午後からは田無病院の丸山道夫先生からがん終末期の栄養管理について学びました。
がんになると体重が減る事が多いですが、2つの原因があります。
がん関連体重減少
消化管の狭窄・閉塞、治療による食欲不振、告知による精神ストレスを背景とした食欲不振が原因で、十分なたんぱく質とエネルギーの補給により改善可能です。
がん誘発性体重減少
がんによる代謝異常に起因するもので、通常の栄養管理では改善する事が困難です。
この体重減少や、筋肉量の低下、全身の炎症反応が起こっている状態を悪液質(あくえきしつ)といいますが、段階があり目指す栄養管理も変わってきます。
悪液質が進行し終末期を迎えると栄養管理のギアチェンジを行いますが、終末期の輸液(点滴)はQOL(生活の質)の悪化をもたらし1日1000ml以下に留め、高カロリー輸液は行わない事が推奨されていますが、点滴の認識への配慮も欠かせません。
がんに限らず、食べられなくなった時、どうするのか?
選択肢が多くある今、元気なうちから考えていきたいですね。