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たちばな台日記 〜スタッフブログ〜

学会・研究会

川崎横浜循環器不整脈Round Discussion

今日は年に一度の川崎横浜循環器不整脈Round Discussionが新横浜で開催されました。

 

 

今回は私が総合司会という事で、特別講演に東京慈恵医科大学 循環器内科 教授の山根先生をお招きし、

「心房細動治療の最前線:根治的アブレーションを行う意味を考える」

というテーマで御講演を頂きました。

 

 

山根先生は現在の心房細動アブレーション治療の先駆者のお一人で、電位指標による個別肺静脈前庭隔離の第一人者の先生です。

 

 

左心房から肺静脈内への興奮伝播はいくつかのfiberを介して行われている。

という概念を基本とし、そのfiberをring catheterで得られた電位を元に前庭部で焼灼する事により肺静脈隔離を完成させる。

それが電位指標による個別肺静脈前庭隔離術です。

 

(日本心臓財団HPより)

 

 

私ももちろん拡大肺静脈隔離も行いますが、以前よりpoint ablationによる肺静脈隔離術を好んで続けております。

 

 

この治療の良いところは、何といっても通電ポイントが少ないため、術後の心房頻拍などがほとんど起こらない事です。

また、手技時間も短縮することが出来ます。

そして肺静脈起源の期外収縮が心房細動の原因である可能性が高い方では、拡大隔離術とほぼ同等の非再発率が得られるであろう点です。

最後に忘れてはならないのはワンポイント、ワンポイントで肺静脈電位が変化する事は、行っている通電に無駄がない証拠にもなり、私たちスタッフのやりがいにもつながります。

 

 

今回の研究会には横浜市、川崎市の多数の不整脈専門医の先生にお集まり頂き、各施設での治療ストラテジーをはじめ、とても貴重なお話しをお伺いすることが出来ました。

御多忙のところありがとうございました。

 

 

これからも最善の治療方法を皆様に提供できるよう、日々精進していきたいと思います。

 

EPAの歴史と新たな可能性

院長の山嵜です。

 

先日「横浜脂肪酸・胆汁酸フォーラム」に講師としてお招き頂きました。

そこで

脂肪酸製剤の可能性を見つめる ~高純度EPA製剤の歴史から新たな知見まで~

というテーマで講演をさせて頂きました。

 

EPAはω3系脂肪酸に属する脂肪酸で、皆さんもご存知の通り魚にたくさん含まれる油です。

EPAの歴史は古く、注目されはじめた時期はなんと1970年代まで遡ります。

 

 

 

そこで講演した内容をふまえて、本日当院で開催した健康教室のタイトルは

 

知りたい!コレステロールのいい話 ~いい油を摂取して健康な一年を~です。

 

EPAが注目されたのはイヌイットの疫学調査を行ったところ、デンマーク人と比較して心疾患による死亡率が低いという発見からでした。

両者の食事内容を比較すると摂取している脂肪量は変わらないものの、イヌイットは魚やアザラシから、デンマーク人はブタや牛から脂肪を摂取していたのです。血液検査上全脂肪酸におけるEPAの占める割合はイヌイットで26.5%、デンマーク人で0.2%でした。

 

日本人約4万人を対象に行われた調査でも、魚(ω3系脂肪酸)を多く摂取している群では少ない群に比べて有意に心筋梗塞の発症率が減少していることが明らかになりました。

 

EPAには多くの薬効が証明されています。

❶ 血清脂質低下作用

❷ 抗血小板作用

❸ 動脈の伸展保持作用

❹ 抗炎症作用

ω6系脂肪酸に属するアラキドン酸は炎症性メディエーターを産生し炎症を惹起することが分かっています。それに対して抗炎症作用を発揮するのがEPAです。

この事から血中のEPA/アラキドン酸比は動脈硬化や心血管イベントの予測因子となってきます。

 

EPAが動脈硬化の高リスク患者や冠疾患既往患者において一次予防・二次予防ともに有用であることは日本で行われたJELIS試験で明らかなになりました。

しかし、Alpha-Omega試験では心筋梗塞発症後の患者においてEPAが有用でないとのデータが示されました。

どうしてでしょうか?

その一つの理由として投与されたEPA量が226mg/日と非常に低用量だったことが考えられます。

JELIS試験で投与されたEPAは1,800mg/日です。

 

そこで今年1月にReduce-it試験というEPA 4,000mg/日の試験結果が論文掲載されました。

その結果心血管疾患高リスク症例において、イベントを25%も抑制することが出来たのです。

 

以上の結果より

「心血管疾患の高リスク症例では、高用量のEPAが心血管イベント抑制に有効である」

という事が明らかになりました。

 

EPAのサプリメントはたくさん販売されておりますが、EPAの含有量は残念ながら不十分なものがほとんどであるのが現状です。

コレステロールが高く、その他生活習慣病をお持ちの方や以前に心疾患を罹患された方は、純度が高く高用量EPAを含有する医薬品を選択されると良いと思います。

 

また、高リスクでない方はサプリメントやお薬よりも毎日の食事でなるべく魚を摂取していただく事をお勧めいたします。

 

 

油の話はまだまだつきません。

 

またの機会にその他の油のお話もさせて頂きたいと思います。

終末期の栄養管理

管理栄養士南です。

先日、神奈川県栄養士会の臨床栄養セミナーに参加してきました!

 

当院には3月まで入院施設がございましたが、その中で終末期医療に携わらせていただく事も多くありました。

 

在宅医療に携わりたいと数年前より熱望しておりますが退院後も継続した支援がしていきたいと思った事がきっかけで、現在は入院施設はありませんが外来から在宅への移行にシームレスな支援ができたら…と考えています。

ということで終末期の栄養管理学んできました。

 

午前中は薬剤師豊田義貞先生からの講義でした。

 

そもそも、終末期の定義は?
という事も実は曖昧ですが、老年医学会から
病状が不可逆的かつ進行性で、その時代に可能な限りの治療によっても病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり、近い将来の死が不可避となった状態とされています。

個人により終末期の経過は極めて多様な事から具体的な期間の設定はありません。

 

人生の最期の時間をどの様に過ごすのか、早いうちから考えていく事が大切ですね。

 

さて、終末期における苦痛には
痛み
倦怠感
呼吸困難
が上位にあがります。

 

その苦痛を緩和する為に薬物療法が行われますが、必発する食の副作用のケアに管理栄養士としてどう関わっていくのかをエビデンスはもちろん、センスが必要だと感じました。

 

普段見なかった事にしてしまいがちな痛み止めや向精神薬の詳細を分かりやすくお話しいただいたので、早速外来で活用していこうと思います。

 

便秘、食欲不振、嘔吐、下痢

引き出しが増えたような気がします!

 

午後からは田無病院の丸山道夫先生からがん終末期の栄養管理について学びました。

がんになると体重が減る事が多いですが、2つの原因があります。

 

がん関連体重減少
消化管の狭窄・閉塞、治療による食欲不振、告知による精神ストレスを背景とした食欲不振が原因で、十分なたんぱく質とエネルギーの補給により改善可能です。

 

がん誘発性体重減少
がんによる代謝異常に起因するもので、通常の栄養管理では改善する事が困難です。

 

この体重減少や、筋肉量の低下、全身の炎症反応が起こっている状態を悪液質(あくえきしつ)といいますが、段階があり目指す栄養管理も変わってきます

 

悪液質が進行し終末期を迎えると栄養管理のギアチェンジを行いますが、終末期の輸液(点滴)はQOL(生活の質)の悪化をもたらし1日1000ml以下に留め、高カロリー輸液は行わない事が推奨されていますが、点滴の認識への配慮も欠かせません。

 

がんに限らず、食べられなくなった時、どうするのか?
選択肢が多くある今、元気なうちから考えていきたいですね。

神奈川県糖尿病療養指導士研修会

管理栄養士の南です。

研修報告続きます…

 

 

今回は神奈川県糖尿病療養指導士認定機構の研修のお話です。

 

 

神奈川県糖尿病療養指導士とは

神奈川県内で糖尿病療養に携わり、一定以上の研修単位を取得した後レポートを提出し、審査に合格すると得られる認定資格です。

 

 

取得した後も更新するためには一定以上の単位を得ることが必要です。単位取得するためにはこの研修は外せません!ということで横浜そごうへ行ってきました。

 

今回のテーマは「

透析には一人当たり年間500万円ほどの医療費がかかることはご存知でしょうか?現在透析患者数は32万人ほどですので、1兆6千億円ほどかかっていることになります。

 

透析導入の原因の第1位は糖尿病腎症によるものです。そこで、国は糖尿病重症化プログラムを作成し、現在各市町村国保の保険年金課により各自治体での取り組みが進んでいるそうです。

 

7題のテーマでの講演がありましたが、その中でたびたびクリニックでは管理栄養士がいないという言葉が出ておりました。当院には、管理栄養士がおりますのでチーム医療で糖尿病治療に臨むことができます

 

糖尿病治療には食事や運動などの生活支援が必須です。薬を飲んでいるから…ではなかなかコントロールが難しいのが糖尿病。難しいことではなく、生活の中のちょっとしたところを見直すことで劇的に改善することもあります。逆に生活に問題なくてもなかなか難しいこともあります。

 

遺伝的要因も言われている昨今、おひとりおひとりにあった支援ができるように取り組んでまいります。

 

 

研修テーマ) これでわかる!糖尿病腎症のすべて

食品と栄養素の関係

管理栄養士の南です。

前回に引き続き、研修のお話です。
しばらく続きますが、よろしくお願いします!

 

突然ですが質問です!
 食品と栄養素の関係は?

 

このお題について1グループ6名、8グループで考えました。

ちなみに参加者は全員管理栄養士または栄養士です。

 

20文字以内で各グループホワイトボードに書いていきます。そして、隣のグループの回答に対し批判する部分について赤字で訂正します!

 

私はグループの中で年齢的にも経験的にもちょうど真ん中くらいでしょうか。
学生さんもいて、学生の頃は現役の栄養士さん達の研修会に参加するなんて微塵も思った事がなかった事を反省した次第です…。
クリニックでは1人管理栄養士ですし、青葉区医師会栄養ケアステーションや在宅管理栄養士の分野では先輩が多くまだまだ若手!と思っておりましたが、どうやら勘違だったようです!汗

 

さて、私達が考えた答えは
食品には複数の栄養素が含まれる

 

皆さまのお考えはいかがだったでしょうか?

 

正解はひとつではありません!考える過程や他のグループの回答から多くのことを学んでいきます。

食支援も正解はひとつではありません。お一人お一人の生活や身体の状態に適した支援が必要ですので、こうしたトレーニングは大切です!

 

今回は小児の脳性麻痺についても学んできました。お恥ずかしながら人生初です!
餅は餅屋といいますが、管理栄養士にも色々な分野はあるものの、クリニックでは多くの疾患の入り口として幅広い疾患に対応できる必要があります。
実際脳性麻痺のお子様と関わる事はないかも知れませんが、小児の特性として新たな発見もあり小児の支援に役立ちそうなヒントを得ることができました!

 

講師の先生曰く、管理栄養士は字が小さい

(控えめな人が多いという意味でしょうか?。よく縁の下の力持ちとも言われます)

という事でしたが私がホワイトボードに書いた字は誰よりも大きかった…!クリニックで鍛えられている成長させていただいている証かと思います!感謝です!!

 

写真は、今回の資料の表紙です。Qの文字は宿題…。たくさんの宿題を持って帰ってきました。。。

 

研修)経口摂取と非経口摂取の栄養管理

~小児・高齢者の対象者に必要な栄養素と経腸栄養の調整~

 

痛みのないアブレーション治療を

毎日暑い日が続いておりますが、皆様体調管理はいかがですか?

先日国際フォーラムで行われた不整脈心電学会に参加して参りました。

その中で「不整脈治療中の鎮静・鎮痛について」のセッションを聴講してきました。

 

当院のカテーテル治療でも可能な限りの無痛治療を心がけております(不整脈によっては覚醒していないと治療できないものもあります)。

 

カテーテルは太ももの付け根などを針で穿刺し挿入しますが、この時点から疼痛が無いように鎮痛剤と鎮静剤を併用し治療を行っております。

 

鎮静剤はうまく調節しなければ呼吸抑制など危険な合併症を生じることがあります。そのため治療中は看護師がぴったりと付き添って、酸素飽和度や血圧などのモニターをしっかりとチェックしております。

 

これからも皆様に安全に、そして侵襲の少ない治療を提供していきたいと思います。

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