2021年09月
DOACの限界と新たな治療
院長の山嵜です。
本日は抗凝固療法を中心とした講演会
「New treatment for arrhythmia Web Conference」で座長を務めさせていただきました。

講演会は聖マリアンナ医科大学 循環器内科 原田先生と東横病院脳卒中センターの吉江先生にご講演を頂きました。
原田先生からは心房細動とアブレーション治療。慢性心房細動におけるアブレーションの限界とDOACの必要性。出血リスクの高い方におけるDOACの限界。出血リスクの高い患者における左心耳閉鎖デバイスWATCHMANについてお話しいただきました。
高齢者に対するアピキサバンの通常用量と低用量の有効性と安全性を評価したJ-ELD AF registryのお話もありました。特に興味深かったのは低用量群の中でアピキサバンの血中濃度が上昇する群があり、そういった群では出血性イベントが多いという結果が示されたことです。女性、85歳以上、CCr<30、心筋梗塞などの既往といった特徴の患者様では血中濃度上昇のリスクがあるという結果でした。
HAS-BLED3点以上の出血リスクの高い心房細動患者に対する新たな治療が左心耳閉鎖デバイス「WATCHMAN」です。医師が抗凝固薬の内服が必要と判断した非弁膜症性心房細動患者さんのうち、抗凝固薬の長期間の内服が困難と考えられる重篤な出血リスクがある場合や、以前に重篤な出血の既往のある方を対象に行われる、脳卒中予防治療の代替療法です。左心耳は最も血栓を起こしやすい部位であり、そこに閉鎖デバイスを留置することで血栓の形成を防ぐことが出来ます。

抗凝固療法を使用するべき方はたくさんいらっしゃいますが、中には出血のリスクが高く治療に難渋する事があります。WATCHMANデバイスの登場は脳梗塞・出血のリスクの高い方にとって新たな選択肢となることでしょう。
FMサルースのラジオでお話いたします。

明日9月15日 FMサルースラジオ 84.1MHzで放送されます、青葉区広報番組「あおバリュー」の「なしかちゃんコーナー」で青葉区医師会からコロナ禍の現状や過ごし方などについてお話しさせていただきます。
11時と18時半から同じ内容で放送がありますのでお時間ございましたら是非お聞きください♪
SURIフォーラムin横浜北部で高尿酸血症について講演会を行いました。
院長の山嵜です
本日は横浜北部の先生方を対象に尿酸についてのお話をさせて頂きました。

高尿酸血症はこれまで痛風の原因疾患という観点で認識されておりましたが、最近では心血管疾患や腎疾患、そして新型コロナウイルス感染症の危険因子という幅広い分野で注目されてきました。
痛風の方は日本に125万人いると言われていますが、高尿酸血症はその10倍1250万人いるのではないかと考えられています。
尿酸は本来抗酸化物質として体を守る重要な働きを担っています。実は抗酸化物質の約半分を占めると言われているのです。
しかしそんな善玉の働きを有する尿酸も、体の中で過剰になると今度は酸化物質、つまり悪玉として働くようになってしまいます。
メタボリックシンドロームでは尿酸が高くなり、また尿酸が高くなるとメタボリックシンドロームを発症しやすくなってしまいます。まさに悪循環です。
メタボリックシンドロームで尿酸が高くなるメカニズムの一つが、近位尿細管にあるURAT1という尿酸再吸収トランスポーターの活性化です。
インスリン抵抗性が上昇すると近位尿細管でのナトリウム再吸収が促進され、それに伴い乳酸等の有機酸再吸収が起こります。有機酸はURAT1を介して排泄されますが、それと引き換えに尿酸の再吸収が生じるわけです。
高尿酸血症には大きく3つの病型分類があります。
❶ 尿酸排泄低下型
❷ 尿酸産生増加型
❸ 腎外排泄低下型
このうち最も多いのが尿酸排泄低下型です。
当院で検討したデータでは未治療の高尿酸血症の75%が尿酸排泄低下型を示していました。
こうした背景からも尿酸排泄を促進する薬剤が日本人では適していると考えることが出来ます。
これまでは尿酸産生を抑制するキサンチンオキシダーゼ阻害薬が主に使用されていましたが、URAT1阻害薬の使用を見直す時期が来ているのかもしれません。
それぞれの薬剤に長所短所がありますので、適した薬剤を選択することがこれからの高尿酸血症治療には重要ではないかと思います。
高尿酸血症や痛風でお悩みの方がいらっしゃいましたらいつでもお気軽にご相談下さい。
エンレスト承認1周年記念講演会でお話をさせて頂きました
院長の山嵜です。
残暑が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先週は夏季休暇を頂きました。コロナ禍の中の休診でご迷惑をおかけし申し訳ありません。
今年の夏季休暇は家にたまっていた小説とともに過ごしました。
また今週からしっかり診療させて頂いておりますので、なんなりとお気軽にご相談下さい。
さて、少し前になりますが7月30日に新しい心不全治療薬であるエンレストの記念講演会で講演をさせて頂きました。
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心不全はステージA~Dに分類されます。
・ステージA:心不全の高リスク群であるが、器質的心疾患や心不全症状のないもの
・ステージB:器質的心疾患は認めるが、心不全症候はないもの
・ステージC:器質的心疾患があり過去現在に心不全症候のあるもの
・ステージD:治療抵抗性の心不全で何かしらの特別なインターベンションが必要なもの
通常心不全治療を開始するのはステージCからということになります。
ステージCの心不全に対する治療目標は大きく3つ
❶ 症状の改善
❷ 生活の質(QOL)の改善
❸ 入院予防・死亡回避
です。
時間的に分類すれば❶と❷は現在の状況を改善するための治療であり、❸は未来を見据えた治療ということになるでしょう。
今回の講演の主役であるエンレストは一般名をサクビトリル/バルサルタンといい、ネプリライシン阻害薬であるサクビトリルとARBであるバルサルタンを1:1で含有する薬剤です。
エンレストが一躍心不全治療の中心に躍り出た臨床試験が「PARADIGM-HF」試験です。
PARADIGM-HFは、NYHA Ⅱ 度以上の8,442名のHFrEF患者を対象にしたACE阻害薬に対するエンレストの有効性と安全性を検討した大規模臨床試験で、これまでその有効性を上回る薬剤のなかったエナラプリルとの比較において死亡や心不全入院のリスクを20%低下させたという結果を示した事でまさに心不全治療のパラダイムシフトとなった試験になりました。
PARADIGM-HF試験のサブ解析で、心不全患者の自覚症状や身体・社会活動度の評価となるKCCQスコアが検討されておりますが、エンレスト投与患者ではエナラプリルに比べて有意に自覚症状や身体活動の増悪を抑制することが示されました。
このKCCQスコアから算出した年齢の等価分析では、エンレストの使用は身体活動や社会活動においてエナラプリルに比べて9年分の若さをもたらしてくれる可能性があるということになります。
上記以外にもNT-pro BNPを早期から低下させる、運動耐容能を改善させるなどエンレストでは多岐にわたる有効性が報告されています。
以上のように
ステージCの心不全に対する治療目標
❶ 症状の改善
❷ 生活の質(QOL)の改善
❸ 入院予防・死亡回避
をすべて達成できる可能性のあるエンレストは新しい心不全治療薬の一つとして非常に期待される薬剤と考えることが出来るでしょう。
神奈川KAMPOネットワーク
院長の山嵜です。
7月27日神奈川KAMPOネットワークで漢方薬の講演をさせて頂きました。

今回お話しさせて頂いたテーマは
「心悸亢進に対する次の一手 ~柴胡加竜骨牡蛎湯の有用性~」です。
動悸で受診する患者様は多くいらっしゃいますが、大きく
・心原性
・非心原性
に分類されます。
心原性は不整脈や器質的心疾患を原因とするもので、多くは長時間心電図や心エコー検査で診断をつけることが出来ます。
また非心原性は発熱、脱水、甲状腺機能亢進症、薬物、貧血、心因性など多様な全身性疾患の鑑別が必要です。
柴胡加竜骨牡蛎湯は柴胡剤として比較的体力のある方の少陽病期に使用される方剤で、大型哺乳動物の化石化した骨である竜骨や、牡蠣の殻である牡蛎を生薬として含むことから精神的な安定をもたらすことのできる薬剤です。

特に「胸脇苦満」という肋骨の下を圧迫すると不快感を自覚される方や、「臍上悸」という臍の上に手を当てると腹部大動脈の拍動を感じる方には非常に有効です。
循環器科で検査をしたけれど原因のわからない動悸や、医師からは大丈夫と言われたけれど動悸の症状が続いている方がいらっしゃいましたら漢方薬も一つの有用な手段になるかもしれません。
そんな方は是非お気軽にご相談を頂ければと思います。
Diabetes Online Conference
院長の山嵜です。
今日は名古屋大学から坂東先生をお招きして
「糖尿病合併症としての心不全~最新ガイドラインを日常臨床に生かす~」
というテーマで講演を頂きました。

疑わしい方も含めると2000万人いると言われている糖尿病と、高齢化にともないパンデミックとなっている心不全、どちらも臨床で欠かす事の出来ない疾患です。
糖尿病治療を適切に行うことは心血管疾患の発症抑制に繋がります。
最近では血糖降下薬であるSGLT2阻害薬が心機能の保たれたHFpEFに有効であるという報告が出されました。
糖尿病薬と心不全薬の二つの顔を持つSGLT2阻害薬は実臨床においてこれからさらに広く使用される薬剤となるでしょう。
さらなるエビデンスが確立されることが楽しみです。





